【世界難民の日】トルコから日本に逃れるも…「ビザもなく働けない」難民申請認められず

【世界難民の日】トルコから日本に逃れるも…「ビザもなく働けない」難民申請認められず

【世界難民の日】トルコから日本に逃れるも…「ビザもなく働けない」難民申請認められず

20日は国連が定めた「世界難民の日」です。ロシアの軍事侵攻によるウクライナ避難民への支援が広がる一方で、迫害から逃れ日本にきたものの、支援を受けられない人々もいます。クルド人の家族を取材しました。

   ◇◇◇

取材班がたずねたのは、埼玉県川口市に住むクルド人のハニムさんです。7年前、トルコから2歳の長女をつれて来日し、その後、3人の子供が日本で生まれました。

ハニムさんが日本にきた理由は――

ハニムさん
「(トルコでは)クルド語を使うと暴力をふるわれ…」

クルド人は“国を持たない最大の少数民族”といわれ、トルコ政府は、自治や独立を求める動きをテロとみなし、弾圧を強めてきました。ハニムさんも差別や迫害から逃れるため、日本にきたといいます。

ハニムさんが見せてくれた、トルコの裁判所による資料の翻訳文には「ハニム容疑者」と書かれていました。

ハニムさん
「クルドの歌を歌って『クルドのテロリズム』みたいな」

トルコ当局が目をつけたのは、2017年にハニムさんがSNSに投稿した動画です。川口駅でクルド音楽を披露した様子を投稿したことについて、「テロのプロパガンダを広めている」として、トルコで逮捕状が出されたのです。

トルコ大使館に出向いた際、パスポートに穴を開けられ移動の自由も奪われました。こうした状況を訴え、難民申請をしましたが認められませんでした。

昨年、日本で難民認定されたのは74人です。4万人近いドイツや、3万人をこえるカナダやフランスにくらべ、極端に少ない日本。認定率もわずか0.7%です。中でも、トルコ国籍のクルド人は日本でひとりも難民認定されていません。

ハニムさんは難民申請が却下され、家族全員の在留資格も失いました。

ハニムさん
「ビザないから働けないから、お金全然ない」

「家族(親族)にお金は借りてる」

収入がたたれ、いま一番心配しているのが、重い心臓病をかかえるアダル君(3)のことだといいます。

ハニムさん
「唇むらさきだから、心臓チェックしよう」

先天性の心臓疾患で5度の手術をうけました。アダル君のおなかに浮き出ているのはペースメーカー。今も投薬が、かかせません。

在留資格を失い、健康保険が使えなくなった事で、医療費は全額自己負担になりました。

21万円を超える金額が書かれているのは、薬の領収書です。

ハニムさん
「(薬の)領収書。このお金、払えますかって言われて、私は全然払えない」

180万円以上かかる、次の手術費用が重くのしかかっています。

ハニムさん
「ウクライナ人が日本きたとき、政府は支援したり、いろんな会社が仕事オファーしたり、家を無償でだしたり。ウクライナ人は人ですが、私は人じゃないですか?」

   ◇◇◇

16日、ハニムさんは支援団体を訪れ、窮状を打ち明けました。

支援団体 松澤秀延さん
「医者も書いてるように、日本で継続的に治療しないと、アダル君の生命に影響してしまう。(治療を)続けるためにはビザが必要」

その判断を下すのが出入国在留管理局です。17日、ハニムさんは入管に呼び出されました。

ハニムさん
「前、入管にいったときも、アダルの薬買えないから保険証が必要とお願いしたけど、何もしてくれなかった。なにをいわれるかわからない。とても不安」

在留資格を失った外国人が入管に呼び出され、そのまま収容されるケースも少なくありません。

約4時間後、ハニムさんは――

ハニムさん
「全然前と同じです。ビザでないです。アダルくんを一番心配していると(伝えたが)、(係官は)『ふーん。わかってる、わかってる。今はまだ』って」

難民認定までは望まなくとも、せめて息子のために働けるようにしてほしいと話しました。ハニムさんは、これからも訴えていくつもりです。
(2022年6月20日放送「news every.」より)

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