「他国が持っていない手段がある」プーチン氏“核使用”示唆か・・・真意は?専門家に聞く(2022年4月28日)

「他国が持っていない手段がある」プーチン氏“核使用”示唆か・・・真意は?専門家に聞く(2022年4月28日)

「他国が持っていない手段がある」プーチン氏“核使用”示唆か・・・真意は?専門家に聞く(2022年4月28日)

ロシアのプーチン大統領は27日の議会演説で、ウクライナ情勢でロシアに干渉する国に対して「戦略的脅威となるならば、電光石火の反撃を行う」「我々はすべての手段を有している。必要があれば使用する」と述べました。直接言及はありませんが“核使用”も選択肢であると示唆したという受け止めが広がっています。

プーチン大統領は過去にも「軍の抑止部隊を特別戦闘準備態勢に移すよう命令する」と、核使用について示唆するような発言をしていますが、より踏み込んだ発言にも聞こえます。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.プーチン大統領の発言を、どうみていますか)

兵頭慎治さん:「『すべての手段を有している』という中に、核兵器も含まれていると受け止められています。アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が、ウクライナの首都キーウを訪れ、ウクライナ軍へのさらなる軍事支援を表明しています。欧米諸国の軍事支援が強化されると、東部2州での戦況に影響を与える可能性が大きくなります。今回のプーチン大統領の発言は、こうした欧米諸国に対応する形で、さらなる軍事支援を政治的にけん制する狙いがあるとみています。ただちに核兵器の使用に踏み切る状況が生じているという訳ではないと思います」

(Q.それだけ強い言葉を使うほど、プーチン大統領にとって欧米諸国の軍事支援の影響は大きいということですか)

兵頭慎治さん:「欧米諸国からさらに追加で供与されると、場合によっては、東部2州も含めてロシアが負けてしまう可能性があると、プーチン大統領の頭の中にあるのかもしれません。5月9日に向けて、東部2州の完全制圧を目指していますが、現在、ロシア側の支配地域を大幅に拡大するには至っていません。ドネツク州も半分近く制圧できておらず、戦況はこう着状態になっています。この状態が続くと、ロシア側の戦況が悪化する、場合によっては負けるような状況に追い込まれる可能性があるということだと思います」

(Q.アメリカ国防総省のカービー報道官やイギリスのトラス外相は“戦争の長期化”を示しています。戦争の長期化は、プーチン大統領も想定していますか)

兵頭慎治さん:「頭の中にはあると思います。プーチン大統領の発言の中で『戦略的な脅威』という表現が出てきます。戦略的な脅威とは、中長期的に続いていくロシアにとっての脅威だという意味だと思います。戦争が長期化するなか、欧米諸国からの追加の軍事支援も長期化していく。これはロシアにとって大きな脅威であると。それに対して、電光石火の反撃を行う。その中には核兵器も含まれるという主張を行ったんだと思います」

(Q.長期化すると、ロシアにとって不利になりますか)

兵頭慎治さん:「ロシア側は武器や弾薬が枯渇しつつありますが、欧米諸国からの経済制裁を受けていて、新たな兵器を製造してすぐに配備することがままならない状況にあります。一方で、ウクライナ軍は欧米諸国、特に旧ソ連製兵器を持っている東ヨーロッパの国から、今後も継続的に武器の供与を受けることになります。長期化した場合はロシアが不利になると、プーチン大統領の頭の中によぎっているんだと思います」

ロシア側は新たな対策を講じています。ロシアのガス会社大手『ガスプロム社』が、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給停止を通告したと、ポーランド・ブルガリア側が発表しました。両国とも天然ガスをロシアに大きく依存しています。

(Q.ガス供給停止の通告が事実だとしたら、どういう意味を持ちますか)

兵頭慎治さん:「これまでは、ヨーロッパの国々がロシアのエネルギーを禁輸するという動きでした。今回は初めて、ロシア側から2カ国に対して、天然ガスの供給を停止すると宣言したと。表向きはルーブルでの決済に応じていない非友好国だからという理由になっていますが、ポーランドなどもウクライナ軍に対して重火器などの供与に踏み切りつつあります。プーチン大統領の核兵器使用を示唆する発言と同じように、ウクライナ軍へのさらなる軍事支援を思いとどまらせるための圧力として、エネルギーを使っているのではないかと思います」

(Q.5月9日まで2週間を切りましたが、これからどんな展開になると思いますか)

兵頭慎治さん:「5月9日までに東部2州の完全制圧することは難しい状況になりつつあります。それ以降も、東部2州は完全制圧できるまでやり続けるのではないでしょうか。東部2州は引き続き、こう着状態が長期化していく可能性もあるとみています。マリウポリについては、プーチン大統領が一方的な制圧宣言を出しているので、5月9日は、制圧できている範囲内で、戦果をロシア国内にアピールするのではないかとみています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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