急拡大する中国『銀髪経済』高齢者2億人超の巨大市場に商機 高性能の杖に歯ブラシ…関西企業も熱視線

急拡大する中国『銀髪経済』高齢者2億人超の巨大市場に商機 高性能の杖に歯ブラシ…関西企業も熱視線

 中国では今、高齢者向け商品の博覧会が開かれています。市場の拡大を受け日本企業の新規参入も相次いでいるようです。中継でお伝えします。武藤さん。(取材・報告=武藤将大記者)

 気持ちいい~。これは中国企業が高齢者向けに開発したカプセルです。

 振動で筋肉が刺激されて、寝ているだけで運動機能のサポートをしてくれるということなんです。中はポカポカと暖かく、下に漢方の成分が含まれたシーツがあり、いい香りなんです。お値段は300万円ほどということなんです。
 値段が高いだけあって、出てきたときに、普段の仕事の疲れが吹き飛ぶような、病みつきになってしまうんですが。

 中国の65歳以上の人口は2億人を超えていて、日本の総人口よりも高齢者が多い状況です。そういった中で、中国政府も「銀髪経済」と銘打って、市場の拡大を打ち出しています。実際に、2035年には市場規模は700兆円にまで拡大すると予測されているんです。

 こうした中、この巨大市場に日本企業が参入しようという動きが相次いでいて、今回は大阪企業が博覧会に参加しています。中国市場への期待度を聞きました。

◇◇◇

 いま中国の上海で、ある店舗が人気を集めています。

 武藤将大記者
「上海で高齢者に人気の施設ということなのですが、中に入ると世界の観光地がフォトスポットになっています。パリの凱旋門が見えて、こちらはエジプトのピラミッド、奥には日本の富士山も描かれています」

 これは、高齢者をターゲットにした1日遊び放題の施設。歌ったり踊ったり出来るだけでなく、ダンサーが来るイベントなどもあり、その上、昼食と夕食がついて、なんと、お一人様約2000円です!

 利用者
「この施設は有名だから一回来てみたんです。本当に素晴らしい、非常に好きです」

 こうした高齢者をターゲットにした業態が近年、増えつつあるといいます。

 店の運営責任者
「初めて店を開店して2日目で、もう来店客でいっぱいになり、他の店も開店したらすぐに来店客でいっぱいになりました。(中国の高齢者は)より良い、より楽しい生活を求めている。だからこの市場のチャンスは結構大きいです」

 いまや高齢化が進み、2億人以上の高齢者がいる中国。「銀髪経済」とも言われる高齢者向け市場が急拡大する中、上海で開かれている博覧会では、様々なアイデア商品が…。

 武藤将大記者
「こちらのヘッドギアは、付けると髪の毛が増える…ということなんですが…なんかポカポカします! あったかいです!」

 中国の深圳の企業が開発した、このヘッドギア。増毛の効果を狙うだけでなく、将来は認知症予防への活用も目指しているんだとか。

 ヘッドギアを使っている人
(Q、好きですか?)
「ええ…悪くないです」

 その中で今年目立ったのが、日本企業の出展です。

 武藤将大記者
「こちらの赤い大きなブース、福岡県と書かれていますね」

 福岡県は10年近く前から地元企業の中国進出をサポートしていて、高齢者が使うことも多い杖(つえ)も人気だといいます。

 福岡県上海事務所・亀石泰斗所長
「普通の杖だと、ここを持って、高齢者は握力が弱くなっていて前にズルッといってしまう。これだと、握力がなくても手の形になっているので、握らなくても押すような形で歩いて行ける」

 価格は1万円台後半から4万円台と高価格帯ですが…。

 福岡県上海事務所・亀石泰斗所長
「好調な売れ行きと聞いています。この1年間でも約280本の売り上げの実績がある。性能が何倍もいいから、値段が何倍にもなるという消費者のイメージではなくて、他との違いがしっかり説明できれば、受け入れてくれる人がたくさんいる市場だと感じている」

 さらに、去年から出展を始めた大阪府のブースも。

 展示されていたのは「360度毛(もう)歯ブラシ」。日本では、磨きやすさで子どもに人気だということですが、中国では高齢者向けで販路拡大を狙っています。

 スティアー 徳永厚志さん
「方向を気にしないでいい。握力が弱いとか、磨くのに困難な方でも、ただ口の中で動かすだけでしっかり磨ける。中国の(高齢者市場の)ボリューム感にはかなりの期待を持っている。抱えている問題は日本とそんなに変わらないと思うので、日本でも同じことをしているけど、中国でもやっていきたい」

 大阪府上海事務所・山田将義所長
「技術開発のスピードも速いし、普及のスピードも速いですし、日本の企業のアドバンテージが残っている期間は少ない。いち早く参入して、いち早く確固たる地位を目指すチャンスは、ほんとにわずかな期間しかないと思っています」

 急成長する中国の銀髪経済市場。中国より30年早く高齢化が進んでいる、と言われるニッポンの企業は、その経験を基に巨大なビジネスチャンスをつかむことが出来るのでしょうか?

◇◇◇
(武藤記者)
 大阪のブースの前に来ましたが、今も多くの方が訪れています。

(中谷しのぶキャスター)
 将来700兆円規模と予測されている巨大市場ですが、日本に求められる戦略はどういったことでしょうか?

 はい。2つポイントがありまして、“スピード”と“先読み”です。

 まず、スピードですが、中国の高齢化率はまだ15%台と日本より低い水準です。ただ、今後高齢化が一気に加速する見込みで、さらに、上海市でも、区によっては40%に迫る地域もあるんです。

 大阪府の担当者は「今後1、2年でどれくらいシェアを握れるかが勝負で、お尻に火がついた状態だ」と表現していました。また、ある日本の関係者は「中国は、高齢者も若い世代も、高齢化への危機感がまだまだ低い」と指摘しています。
 そういった中で、中国政府が先んじて銀髪経済の活性化を打ち出す背景の一つとして「将来的に日本と同様に、介護問題などが表面化した際に、中国国内で社会不安が拡大するのを避けたい狙いもあるのでは」と分析していました。

 日本は中国より30年早く高齢化が進んでいる中で、日本だからこその目線で、中国側のニーズをいかに先読みし、質の高い商品やサービスを投入できるかも重要なポイントになります。
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