大阪市「特区民泊」新規受け付け停止 “駆け込み”急増で所有者から『部屋を明け渡して』トラブルも

大阪市「特区民泊」新規受け付け停止 “駆け込み”急増で所有者から『部屋を明け渡して』トラブルも

 大阪市は騒音やゴミ処理などのトラブルが相次いでいる「特区民泊」について、新規の受け付けを29日停止します。“駆け込み”で申請の動きもある中、民泊を巡る問題は解決に向かうのでしょうか。

 今週水曜日(27日)の午前8時半ごろ。

 楠下一輝記者
「受け付けが開始される30分前ですが、すでに多くの人が並んでいます。目的は特区民泊の申請です」

 特区民泊の新規受け付けが29日で終了するのを前に、申請手続きをしようと行列ができていました。

 申請者
「特区(民泊)が魅力的だから、これだけいらっしゃるのでは」

 特区民泊は、宿泊施設の不足に対応し、インバウンドを取り込むため、一部の地域で営業日数などの規制を緩和した制度で、大阪市は2016年に導入しました。しかし、全国の施設の9割以上が大阪市に集中していて、騒音やゴミの不法投棄など近隣住民とのトラブルも相次いでいます。

 特区民泊の近隣住民
「(特区民泊の)前でお酒を飲んだり、2~3人でうるさいですよ、夜。苦情連絡先の電話番号が書いているが、そこに電話しても通じない、出ない」

 こうした状況を受け、大阪市は去年9月、新規の受け付けを停止する方針を明らかにしました。

 大阪市・横山英幸 市長
「住民のみなさんの不安や心配も大きい。このままでは、ともすれば特区民泊という制度自体が、いつか続けられないというリスクさえ、はらんでいる。であれば、(特区民泊の受け付けを)一度止めて、しっかりと体制を整えていく」

 しかし、大阪市が受け付けの停止を公表した後、“駆け込み”の申請が急増。5月に入ってからはさらに増え、すでに1000件を超えています。

 そのため、29日で新規の受け付けが終了しても、約1万件の施設が大阪市内で運用される見込みです。

 “駆け込み”需要の背景について、民泊に詳しい専門家は…。

 阪南大学 国際学部・松村嘉久 教授
「(物件が)特区民泊で認定を受けていると、資産としての価値が上がるんですよね。民泊で貸せないと、普通に家賃でやるしかなくて、家賃の相場と宿泊料金の相場は全然違うので、いまの間に特区民泊の認定だけ受けていれば、比較的将来にわたって高収益をあげられるということで駆け込んでいる」

 そんな“駆け込み”申請を巡ってトラブルも起きています。

 4月中旬、大阪市西成区の賃貸マンションに住む男性のもとに、突然、ある書類が届きました。

 マンションの住人
「僕の部屋のドアポストに『部屋を明け渡してほしい』という書類が入っていて、4月の20日前ぐらいに(書類が)入っていて、『5月末までに出て行ってほしい』と。そんなふざけた話はない」

 書類では、特区民泊の申請が終わる5月末までに部屋を明け渡すよう求められ、応じなかった場合、6か月後には解約するとの記載も。

 男性がマンションの所有者に連絡をとると、「当該建物を民泊などの宿泊施設として使用する予定だ」と返答があったといいます。

 マンションの住人
「『出ていくのが難しいのなら、そのまま住み続けても構いません』と。“民泊に”ということなら、セキュリティーの不安もありますし、外国人の方とかが多く出入りすることになるので、住み続けたいかといわれても…住み続けたくはないのでね」

 住民説明会が行われたのは、申請終了間際の先週で「現在、申請を行っている最中だ」と説明されたということですが…。

 男性はすぐに出ていくことは難しく、今後しばらくは住み続ける予定だということです。

 マンションの所有会社に取材を申し込むと、「代表者が海外にいるため、後日回答したい」ということでした。

 “駆け込み”で特区民泊の数がさらに増える中、大阪市は「迷惑民泊根絶チーム」を立ち上げ、すでにある民泊の事業者への監視や指導を強化しています。

 大阪市迷惑民泊根絶チーム・井村嘉秀 主幹
「こういった調査票があって、こちらに基づいて法令の順守(じゅんしゅ)ができているか(調査)。一番重視しているのは、苦情(対応の)体制。苦情の連絡先をきちんと貼っているか、そこ(連絡先)に(電話を)かけたらつながるか、きちんと対応できるか、そのあたりを聞き取りなどで(調査)」

 市は、これまでの苦情件数やアンケート結果などをもとに、特に対策が必要とした重点監視対象施設に、約2800の民泊施設を選定。今年3月からは現地での調査も実施しています。

 調査員
「こちらが本日の調査結果になります。運営には特段問題はなかった。変更の手続きなどを一部指摘している」

 こうした調査を含む監視指導を、4月末時点までに約500件実施し、その内5件は改善するよう促す指示を行いました。いずれも改善が見込みまれるということで、認定取り消しに至るケースはなかったということです。

 専門家は、民泊を巡る問題を解決するためには、それぞれの民泊が抱える問題や地域に合わせて、個別に対策を進める必要があると指摘します。

 阪南大学 国際学部・松村嘉久 教授
「居住空間に隣接していて騒音が顕在化するなら、立地の問題で立地規制をかけないといけないし、管理している会社に電話しても駆けつけられない、遠方に居住なら無理なので、そもそも、そういう所を認定している時点でおかしいと。苦情が出ている内容に沿ってタイプ別に対策を立てる、もしくは認定を取り消すというラインを決めていかなければ」

◇◇◇◇◇

 (中谷しのぶキャスター)
 民泊をめぐっては、いろんなトラブルも言われていますが、実際にこういった組織も立ち上がりました。

 特区民泊は、全国の9割以上が大阪市に集中しています。そういったことも受けて、去年11月、「大阪市迷惑民泊根絶チーム」が設置されました。悪質事業者には認定の取り消しも行うということです。

 今年3月から調査指導が行われて、約500件実施されました。そのうち改善指示が出されたのが5件、認定取り消しは現時点ではないということです。こういった調査をしっかりと進めた上で、丁寧なフォローというのが、やはり必要になってきているのではないかなと感じます。
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