【キシャ解説】『京大病院で35年勤務』とウソ 無免許で医療行為か クリニック「疑いもしなかった」なぜ見破れず?

【キシャ解説】『京大病院で35年勤務』とウソ 無免許で医療行為か クリニック「疑いもしなかった」なぜ見破れず?

【キシャ解説】『京大病院で35年勤務』とウソ 無免許で医療行為か クリニック「疑いもしなかった」なぜ見破れず?

 大阪・北新地のクリニックで、医師免許がないのに医療行為を行ったとして逮捕された男。「京都大学付属病院で35年間勤務していた」と経歴を偽っていたことがわかりました。

 原田伸一容疑者の会社のYouTubeより
 「もうがんについては、がん検診は必要なくなる時代がやってくると思います」

 白衣を着て、まるで医師のように話す男。しかし、この男、医師ではありませんした。

 30日、医師法違反の疑いで逮捕された、ワクチン開発などを行う「エトセル研究所」の代表、原田伸一容疑者(66)。

 去年9月から今年4月にかけて、大阪市北区の「北新地さくらクリニック」で、医師免許がないのに、がん患者など169人に対し診察などの医療行為をした疑いがもたれています。

 なぜ、医師として働くことができたのでしょうか。31日、原田容疑者を採用したクリニックの経営者が取材に応じました。

 クリニックの運営法人・政岡憲昭 代表理事
 「うちの北新地さくらクリニックも京大ОBの医師がいるので、その先生の名前を出すと知ってるという話になって。全く疑いもしなかったです」

 クリニック側によると、去年8月、新しい医師を探していたところ、知人から原田容疑者を紹介されたといいます。

 これは原田容疑者が提出した履歴書。

 『京都大学医学部卒業、医師免許取得。特技、外科オペ』

 さらに、その後付属病院で35年勤務したなど、輝かしいウソの経歴が書かれていました。

 クリニックの運営法人・政岡憲昭 代表理事
 「本人は、事故で手が不自由になったので医師として外科で手術を主にされていたとおっしゃっていましたから、手術ができなくなって病院をやめましたと。病院を辞めた後は、がん研究所というところに入って、がんの研究をして、がんのワクチンを開発して、自分で会社を作ってこれからワクチンの開発をして世に出していきたいという希望がありますと」

 採用された原田容疑者は、再三、医師免許の提出を求めても、「紛失して再発行の手続きをしている」などの言い訳を繰り返し、提出しなかったということです。

 クリニックの経営者は、医師としての技量を疑う部分もあったと、当時を振り返ります。

 クリニックの運営法人・政岡憲昭 代表理事
 「看護師から、患者さんの質問に対して、ちょっと逆の答えをしたりとかして、ハラハラしたっていうのは1回か2回聞いてまして、本来であれば、やってはいけないことを、こうしなさいって話をして、慌てて止めたとか」

 また、原田容疑者は自身の名前を冠した「harada」というがんに効くワクチンを開発したとうたっていました。

 原田伸一容疑者の会社のYouTubeより
 「がんワクチンを利用することによって、皆さんががんにならない世界がやってくるということを、ちょっと想像してみてください」

 これもウソなのでしょうか。

 原田容疑者は調べに対し、「私は医師免許をもった医師です」と容疑を否認しているということです。

 警察は、偽造されたとみられる原田容疑者の医師免許の画像データを押収していて、犯行に及んだ動機などを詳しく調べています。

◇◇◇◇◇◇
(中谷しのぶキャスター)
 ここからは、取材を続ける下内記者です。
 改めて今回逮捕された原田容疑者ですが、こちらです。

 改めて今回逮捕された原田容疑者ですが、こちらです。
 計418回の医療行為を行って、薬の処方や注射を指示していました。ただし無免許だったということです。
 
 初めて出勤した時に「医師免許をなくした」として、再発行を促しても「厚労省のミスで番号がわからない」と言い訳しつつ、8か月間勤務していたということです。
 クリニックの経営者は、なぜ見抜けなかったのかという質問に対して、「病院関係者の紹介だった」「免許を持たず医師を名乗る人がいるとは思いもしなかった」と話しています。

 なぜ今回発覚したのかといいますと、実は中国人らによる偽造証書に関する捜査が行われていて、その中でつながったということなんですよね。

(下内寛人記者)
 昨年、警察は中国人らによる偽造在留カードに関する捜査をしていて、その一環で、関係先を家宅捜索しました。その家宅捜索した際の押収物の中の一つに、原田容疑者の偽造された医師免許に関する画像データが発見されたということが、今回の事件が発覚した経緯です。

(中谷キャスター)
 クリニックの経営者は「紹介だった」としていますが、なぜ採用に至ったのでしょうか?

(下内記者)
 それはこちら、「がんワクチン」です。

 原田容疑者が京都大学の医学部付属病院で働いていたというのは、ウソだったわけですが、原田容疑者が「がんワクチン」を研究したり製造したりする会社の代表を務めていて、2022年には「がんワクチン」に関する特許を取得していたということ、これは事実だったわけです。ただし、この特許に関して、安全性だったり有用性というところは、まだ確認できていないのですが、こうした研究をしていたというのは事実だったということです。

 そして、勤務していた「北新地さくらクリニック」というのは、がんの治療や予防に特化している病院で、問診を通してワクチンを接種するといった治療がメインの病院でした。
 経営者の方に話を聞きますと、優秀な経歴を信用してしまったということと、採用面接の際には、がんワクチンの話でお互い盛り上がったということで、この2つの共通点が採用につながったということです。

 実は、無免許医師が診察していたケースというのは、過去にもあります。
 2012年には東京都で、医師の資格がないのに健康診断を行ったとして逮捕されています。
 2015年には茨城県で、他人の医師免許証で眼科医になりすまして診察を行い逮捕されたという事案もあります。

 そんな中で、私たちはどう確認すればいいのでしょうか。実は、厚労省の「医師資格確認サイト」というのがあります。名前・性別を入力すると、医師や歯科医師を表示する、検索することができるということです。
 ただし、厚労省によりますと、検索の方法に誤りがあったり、手続きの途中などで名前が表示されない場合もあるということです。ご注意下さい。

(下内記者)
 この件を取材していますと、やはり採用した側にも、採用する経緯など、実際に勤務してもらっている間でも、いくつか気づくことができるポイントがあったのではないかと思いました。この事件をきっかけに、採用する側の意識を高めるということも重要だと思いました。

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