【担当記者が解説】「斎藤知事が辞職を選ぶことはない」なぜ今辞職要求? 維新と各会派の思惑

【担当記者が解説】「斎藤知事が辞職を選ぶことはない」なぜ今辞職要求? 維新と各会派の思惑

【担当記者が解説】「斎藤知事が辞職を選ぶことはない」なぜ今辞職要求? 維新と各会派の思惑

 9日維新が辞職と出直し選挙の申し入れをしたということです。
(取材・報告=神田貴央 記者)

 維新が単独で自民党に先んじて出直し選挙の申し入れをするということなんですけれども、維新これまで静観を貫いてきたんですが、変わったのには、まず先週の百条委員会の発言があります。

 まず知事の疑惑を告発した方が、告発者の方がいらっしゃるんですけれども、その告発が「公益通報に該当すると今でも思っていない」と、当時「徹底的に調べてくれ」と、しっかり調査をするよう指示したことが明らかになりました。

 こちらの対応は専門家の方からも違法性があったのではないかというような指摘が出ています。そしてもう一つ、人が亡くなっているような状況ではあるんですが、「道義的責任が何なのかというのは、私には分からない」とこういった発言は、会派を問わず、まずいのではないかという指摘が出ていまして、維新の背中を押す要因となりました。

(中谷しのぶキャスター)
 今回維新が辞職要求したもう一つの理由というのは?

(神田貴央 記者)
 政治的思惑も今回あるんですね、その一つがこちらです。

 「出遅れ感の払拭」

 今回、衆院選に備え出遅れ感を払拭したいという思惑があります。これがどういうことかというと、今までの維新の対応を振り返ってみましょう。

 まず、今回の疑惑を調査する百条委員会を設置する際、主導したのは自民党でした。ただ維新の会は百条委員会を設置することには反対をしていました。
7月の段階で自民党の兵庫県連の会長が、辞職要求をしていました。

 一方で、8月になっても維新の会としては、事実認定が大事だと、何が本当で本当じゃないか分からないタイミングで、辞職を要求したり吊るし上げるのは問題ではないかと。
 ただきょう、藤田幹事長が会見でこのように話しました。「判断が遅いという批判はある。それについては真正面から受けたい。また今回私は方針転換をすると言わざるを得ない」と。そして自民よりも早く辞職申し入れをするに至ったのですね。

(中谷しのぶキャスター)
 一方で、他の会派はどうでしょうか。

(神田貴央 記者)
 きょう、維新は辞職申し入れをしたんですけれども、他の会派にも動きがあります。このうち、自民党は先週末の段階で、辞職を申し入れることを表明しています。それに他の会派も乗ることが決まっていますので、結論から言うと、全ての会派が辞職を申し入れることになりました。

 ただ、ここで一つ疑問が残ります。それがこちらです。

 なぜ不信任決議案ではなく、辞職要求なのかというところです。
 思い出していただきたいのが、8月31日の段階で、立憲系の兵庫県民連合が、不信任案を提出することを表明していました。これに対して各会派、乗るのか乗らないのかというのが焦点だったんですけれども、なぜ辞職申し入れに変わったのか。

 この辞職申し入れがどういう位置づけかと言いますと、不信任案は議会に提出するものです。この議会に提出されたものが、もし可決されますと、知事は自分が辞職をするのか、それとも議会を解散するのか、強制的に選ばなければなりません。

 一方で辞職の申し入れというのは、あくまで会派の態度を明らかにするだけなので、法的拘束力はないんですね。なぜここに落ち着いたか。

 一つがこちらです。

 ラストチャンス。

 どういう意味かと言いますと、不信任決議案は知事が強制的に判断をしなければいけないんですけども、あくまで自発的に、政治家として判断をする、メンツを保つチャンスを、与えたという向きもあります。

 ただ、もう一つの理由がこちらです。

 リスクを避けたい。

 これは、知事ではなく、県議側がリスクを避けたいという思いです。

 どういうことか。
 不信任案が可決すると、辞職か議会を解散するかを、選ぶことになるんです。知事は、議会を解散した場合、県議の方々は自分たちが選挙をしなければならないんですが、中には落選してしまうかもしれないと、不安を抱いている人もいます。

 また、衆議院選挙も近いと言われていますので、その日程がもし重なると、自分の選挙を頑張らなければいけないのに、国会議員の方の応援もしなければならない、2つ仕事ができるということでかなり負担が増えてしまうんですね。こういったリスクを避けたいという思惑もあるんです。

(中谷しのぶキャスター)
 斎藤知事はどういう判断をするのか?

(神田貴央 記者)
 9日朝の段階では「百条委や第三者委の調査にしっかりとこれからも対応いきたい」と話していてあくまで続投を表明していました。
 ただ、この後どうなるか分からない状況ではあるんですけれども、維新の関係者の方には、こういう声もあります。

 「斎藤知事が辞職を選ぶことは、ここからもないだろう」

 その理由が、こちらです。
 9日、藤田幹事長が明らかにしたんですけれども、斎藤知事と吉村共同代表、府庁時代の上司と部下の関係で、斎藤知事が尊敬する方でもあります。その方が、電話で事前に説得をしたけれども突っ跳ねたということで、意思は固いんだと、だから辞めないんじゃないかという話が出ています。

(中谷しのぶキャスター)
 これだけ辞職要求という話も出てきていて、続投を考えられている、その背景にはご自身の思いとして、どういうことが考えられますか。

(神田貴央 記者)
 これは自分の推測にはなるんですけれども、知事はずっと記者会見でも、法的には問題がないということを、繰り返しているんですね。
 法的には、自分の対応は間違っていない。だから辞める必要はないと考えていると思うんですが、正直なところ、これはもう、ご本人がどう考えているかは分かりませんので、この後の取材とかで、話すかもしれないですね。

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