タクシー暴走7人死傷 認知症の元運転手に禁錮3年判決「認知症で過失責任は減殺」遺族は「軽すぎる」

タクシー暴走7人死傷 認知症の元運転手に禁錮3年判決「認知症で過失責任は減殺」遺族は「軽すぎる」

タクシー暴走7人死傷 認知症の元運転手に禁錮3年判決「認知症で過失責任は減殺」遺族は「軽すぎる」

 2023年、大阪市生野区でタクシーが歩行者らをはね7人が死傷した事故で、元運転手に対し実刑判決が言い渡されました。裁判の争点になったのは元運転手の「認知症の影響」。裁判所が示した判断とは――。

 車いすに乗って法廷に現れた男。

 裁判長
「主文。被告人を禁錮3年に処する」

 2023年3月、大阪市生野区で、個人タクシーが赤信号を無視し歩行者らをはね、バイクに衝突するなど次々に事故を起こし、2人が死亡、5人がケガをしました。

 タクシーを運転していたのは斉藤敏夫被告(76)。
 
 斉藤敏夫 被告
「言い訳しない。自分が100%悪い」

 起訴内容を認めたものの、弁護側は「認知症の影響が相当程度あり、過失責任は問えない」として、無罪や刑の減軽を主張。裁判で斉藤被告は、遺族の面前で何度も指でマルを作るしぐさをし、「保険で金が支払われる」などと口にします。

 事故で命を奪われた、原井恵子さん(当時67)。絵が描くことが好きで、いまも家中に絵が飾られてあります。

 裁判では、原井さんの夫が証言台に立ちました。

 原井さんの夫
「事故によって、ささやかな幸せが一瞬にして破壊されました」

 その直後、斉藤被告が身を乗り出して信じがたい言葉を口にします。

 斉藤敏夫 被告
「自殺するよ!自殺するよ!」

 裁判長が制止する中、原井さんの夫は言葉を続けました。

 原井さんの夫
「認知症の加害者を守るだけでなく、何も言えない被害者の人権も優先してほしいです」

 迎えた、4日の判決。大阪地裁は「認知症の症状はあるが、事故の前は運転に異常はなく、過失責任に問える」とする一方…。

 裁判長
「認知症が小さくない影響を及ぼし、過失責任は一定程度、減殺されるというべき」

 検察側の禁錮5年の求刑に対し、禁錮3年の判決を言い渡しました。

 事故で亡くなった原井恵子さんの夫
「私は軽すぎると思います。人を2人殺しておいて、禁錮3年というのは」

 事故で亡くなった松中英代さんの長男
「認知症を自分で認識していて、運転しているのはありえないです。免許返納する行為をとってもらわないといけないと思います」

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