「失敗や」「なんてこと…」民間ロケット発射直後に異常感知して爆発　見学者は「めげずに頑張って」

「失敗や」「なんてこと…」民間ロケット発射直後に異常感知して爆発　見学者は「めげずに頑張って」

和歌山県串本町にあるロケット発射場から13日午前、打ち上げられた民間ロケット「カイロス」。しかし、その直後に爆発しました。軌道への投入が成功すれば民間単独では国内初となるはずだった今回の打ち上げ。失敗の背景にいったい何がー。

　午後2時すぎ、「カイロス」を開発したベンチャー企業の「スペースワン」が会見を開きました。

　スペースワン・豊田正和社長
「リフトオフ（離昇）をして、約5秒後に飛行中断の措置が取られました。原因については、対策本部を立ち上げて現在調査中でございます」

　上野巧郎記者
「今、大きな炎を上げて民間の小型ロケット、カイロス…。しかし…これは、発射後すぐに機体は炎を上げてバラバラになり、組み立て棟の近くに落ち、炎をあげています…」

　6度目の挑戦は無残な結果となってしまいました。

　その、約5時間前。観光名所・橋杭岩では、打ち上げの瞬間を見守ろうと、朝から期待値もじわじわ“上昇”していました。

　奈良から来た人
「悪いニュースばかりやから、たまには夢があることを」
「大いに期待しています。打ち上がったら涙が出ると思います」

　また、発射場から約1.5キロ離れた県の公式見学場では。

　楠下一輝記者
「ロケット打ち上げまで1時間を切りました。見学場には、すでに多くの人が訪れています」

「飛んでくださーい！　カイロスロケットさーん！」
「カイロスがんばれー！」

　ここで多くの人が買い求めていたのは、ロケットをかたどった饅頭（まんじゅう）「そらのかけはし」。地元の老舗和菓子店が作った商品で、パッケージにもこだわりが！中を開けるとロケットが飛び出し、宇宙が広がる様子を表現しているんです！

　「ロケット饅頭はもうない？」
　「売り切れました～」

　用意した約700個は2時間あまりで完売しました。

　また、発射場に近い小学校では…。

　先生
「（午前10時）45分を過ぎました。今やっている作業をいったん中断します」
「よしロケット見に行くぞ！」

　授業をいったん中断し、児童らは学校の屋上へ！

　町立田原小学校・林宜行校長
「子どもらの夢でもあるし、信じています」
　児童
「絶対失敗しないように、神様に願いました！」

　さらに、打ち上げの瞬間を海の上から眺めようと、制限区域外の海上からも、その時を待っていました。

　大阪から来た人
「ロケットは好きです。宇宙関係のものが好きです。絶対飛ぶと思います」

　そして…。

　カウントダウン
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」

　民間の小型ロケット「カイロス」は午前11時1分、国内初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられましたが、発射直後に空中分解しました。その後、地上に落下した複数の破片が激しく炎上。これまでのところ、けが人の情報は入っていないということです。

「なんか…おかしくない？」
「おかしい」
「…失敗や」
「なんてこと…」

　校舎屋上の子ども
「ロケット見えない」
「下に落ちてないよね？」
「ドーンって音がしたけど」

　アナウンス
「打ち上げ失敗。発射点火後に爆発して、機体がバラバラになったと」

　夢を乗せた「カイロス」の突然の爆発…。一体何があったのでしょうか。

　開発したスペースワンは爆発の原因について…。

　スペースワン・遠藤守取締役
「自律飛行安全といって、ロケットに搭載しているコンピューターで判断します。何らかの異常があると飛行中断の指令が出される」

　記者
「自律飛行安全システムに基づいて、自ら異常を感知して爆発させた？」

　スペースワン・遠藤守取締役
「そうだと思いますが、実際に何が起きたかは、データを分析・究明中なので、現時点では何とも言えない」

　スペースワンによりますと、打ち上げ5秒後に「1回目の分離と2回目の点火」の達成が困難と判断し、自動で「飛行中断処置」を行ったと発表しました。ただ、詳しい原因については調査中だとしています。

　スペースワン・豊田正和社長
「私どもは諦めるつもりは全くありません。計画通りに進めること自身が、地元の皆様、関連産業の皆様にとっての貢献だと思っております」

　こう話し、今後もロケット開発を進める方針を強調しました。
　
　和歌山・串本町の田嶋勝正町長
「いやー、きょうの日を楽しみにしていましたから、残念ですね。ロケットと一体となって街づくりをすると決めましたから、一日も早く初号機が打ち上がるように協力したい」

　町立田原小学校・林宜行校長
「残念ながら今回は打ち上げはうまくいかなかった。でも、こういう挑戦は失敗しても必ず成功するから、また次に応援しよう」

　訪れた人
「次の機会があったら何回でも来るので、めげずに頑張ってほしいと思います」

　訪れた人（99）
「失望することはない。必ず成功するように頑張ってくれると思う。見に行きたい。生きている限り」

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