露領内で破壊や越境攻撃“ロシア義勇兵”キーマン直撃 ウクライナ反転攻勢への影響は(2023年5月28日)
大規模な反撃と共に注目を集めるのが、ウクライナ側で戦うロシアの義勇兵たち。
なぜ自国に攻め入るのか、ウクライナ軍の関与はあるのか。キーマンを取材し、背景を探りました。
▽ウクライナ総司令官「取り戻す時が来た」
「ウクライナ 母なる土地 神は我々の父だ 断固たる反撃にご加護を…」
27日、ロシア軍との戦闘に臨む兵士の動画と共に「我々のものを取り戻す時が来た」とメッセージを出したのはウクライナ軍のザルジニー総司令官。“反転攻勢の開始宣言”ともとれる軍のトップのこの発信。反転攻勢は始まったのでしょうか…
「ベルジャンシクで爆発がありました。SNSで煙の映像が公開されました。ベルジャンシク市議会の副会長によると、ロシア軍の兵士がいた保養所に着弾があったということです」
ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部のザポリージャ州ベルジャンシクで27日、複数回起きた爆発。ウクライナ軍は、21日にもベルジャンシクにあるロシア軍の拠点を攻撃したと表明しており、今回もウクライナ軍による攻撃の可能性があります。
これもウクライナの反転攻勢に関係あるのでしょうか…22日に明らかになったロシア領土内への越境攻撃。ロシアのショイグ国防相は…
(ロシア ショイグ国防相)「5月22日、ウクライナの民族主義者の部隊がベルゴロドの国境検問所付近でロシア領土に侵入した。(対テロ作戦で)70人以上のウクライナのテロリストを殲滅した」
場所はウクライナと国境を接するロシアのベルゴロド州。悠々と国境を越え、ロシア領内に入る武装組織。
「ロシア義勇軍団 進め!」
この攻撃を行ったと主張しているのが、反プーチン政権を掲げるロシア人のパルチザン、「自由ロシア軍団」と「ロシア義勇軍団」です。犯行声明では…
(自由ロシア軍団 司令官)「クレムリンの独裁を終わらせる時が来た」
24日には、戦利品とされる装甲車の前で幹部らが合同の会見を行いました。
(ロシア義勇軍団 司令官)「これはロシアのカラシニコフ銃。戦利品の一つだ。ロシア義勇軍団には2人の軽傷者を除いて死傷者はいない。我々の活動は継続中で、第一段階は成功した」
▽「自由ロシア軍団」祖国への“越境攻撃”なぜ?
今なぜ、越境攻撃を行うのか…その理由について、「自由ロシア軍団」政治部門の代表バラノフスキー氏は…
(自由ロシア軍団 政治部門代表 アレクセイ・バラノフスキー氏)「一部の地域では、ウクライナの反転攻勢はすでに始まっています。地面も乾いてタイミングが良かった。我々の目的は、ロシア軍の一部を撤退させ、防衛体制を弱体化させることです」
ロシア領土内で攻撃するのは、今回が初めてだという自由ロシア軍団。ウクライナ軍の関与については…
(バラノフスキー氏)「ウクライナ領土にいるときは、ウクライナ軍の管理下にあるので、私たちはウクライナ軍の指示に従って動いています。ロシア領土に戻ったときは、自由ロシア軍団の司令官の指示に従うので、ウクライナ軍は全く関与していません」
Q. ベルゴロド州の攻撃にウクライナ軍は関与していないのですか?
(バラノフスキー氏)「関与していません。今回の攻撃は、私たちの部隊が独断で行いました」
▽「ウクライナの英雄」が解説“ロシアのパルチザン“
現在、ウクライナ政府と共に、占領下のパルチザン活動を支援するジェムチュゴフ氏はこう説明します。
(元パルチザン指導者 ジェムチュゴフ氏)「自由ロシア軍団は今、ウクライナ国内で独立した軍事組織です。ウクライナ軍はロシア軍の大規模な進軍を止めることができた現時点でロシアの義勇兵は前線にいる必要がなくなりました」
ウクライナ軍との連携については…
(ジェムチュゴフ氏)「彼らは戦地から撤退し、本来の目標達成に向けた活動を始めました。ウクライナの諜報機関と連携し、私たちは偵察情報を提供しています。ロシア国内で本格的な内戦を起こすのに必要なIT系の支援をしています」
「自由ロシア軍団」では、2日間に渡る戦闘がSNSなどを通じ急速に広まったことで、変化があるといいます。
(バラノフスキー氏)「ロシア国内から自由ロシア軍団やロシア義勇軍団への志願者が非常に多く集まっています。あまりにも志願者が多すぎて、選定作業が間に合っていません。中には組織に侵入しようとするロシアのスパイがまぎれているかもしれないので、全員きちんと調べないといけません」
▽ロシア義勇兵の本懐“プーチン政権の転覆”
26日、タス通信は、ロシア南部の都市クラスノダールで爆発があり、住宅の屋根や窓ガラスが破壊されたと伝えています。3日のクレムリンへのドローン爆破など、ロシア国内では、国境付近のみならず、各地で“破壊工作”が頻発。ロシアメディアが報じたものだけで、今月に入って29件に及びます。
(ジェムチュゴフ氏)「ロシア国内で起きているすべての出来事はロシア国民によるものです。ウクライナ諜報機関はロシアのパルチザンと連絡を取り合い可能な範囲で支援している。」
ロシアのパルチザンによる破壊工作や越境攻撃、ウクライナの反転攻勢にどう影響するのでしょか。
(ジェムチュゴフ氏)「ロシアは自国内で行われる戦闘に準備しておらず、今前線にいる部隊をロシア領内に慌てて移動しています。ウクライナ国内の体制が弱体化し、ロシア軍の攻勢が弱まることが、ウクライナ軍にとって一番大きなメリットです。プーチン政権を弱体化させ、政権転覆につながると期待しています」
今、自由ロシア軍団は、第二・第三の攻撃を水面下で進めているといいます。
(バラノフスキー氏)「ベルゴロド州以外にも、今はブリャンスク州、クルスク州でも作戦の準備を進めています。ただ、これが最後ではありません。最終目標はモスクワです。ウクライナがクリミアを取り戻したら、プーチン政権は崩壊し始めると確信しています。その時、ロシアに戻ってプーチンを完全に潰さなければいけない。」
5月28日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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