“ニセ警察官”実は既婚のトラック運転手の「結婚詐欺」初公判で男が語ったこと、手の込んだ手口とはー
4年にわたり、警察のキャリア官僚になりすまし、“結婚詐欺”で女性から現金をだまし取った罪などに問われている男の初公判が23日、行われました。裁判で男が語ったこととは?
吉川被告
「憧れの警察官の制服を着たかった」
午後3時ごろから大阪地裁で初公判が開かれたのは、婚約者の女性から195万円をだましとった詐欺などの罪に問われている大阪市生野区の吉川剛司被告(36)の裁判です。
◇吉川被告の手口、それは……
〈ニセ警察官〉
警察官の制服の上からエプロンを着て、料理をする吉川被告。
さらに警棒を構えて、ポーズを決める様子も。
吉川被告がついた数々の嘘を取材にこたえたのは、2019年にマッチングアプリで吉川被告と知り合い、婚約したという女性です。
被害にあった女性(30代)
「警察庁に入庁したキャリアの官僚だと話していました。今は大阪に出向で来て、大阪府警の警備部に所属していると」
さらに……
被害にあった女性(30代)「制服着て、私の実家に来ることも度々ありましたし、色々な装備品を身に着けて、そのままご飯を食べに行ったり、オリンピックの警備関係の書類のファイルと言って、私や家族に見せていた」
〈偽の警察手帳〉
女性が見せられた警察手帳には、確かに写真や名前とともに、上位階級である“警視正”と記されていますが……。これは偽物だったのです。
さらに、メッセージアプリには、しきりに正義感の強さをアピールする様子が。
吉川被告
「市民に寄り添う警察官になりたい。守りたいものを守る時に、手段は選ばん的な」
「このスイッチ入った時の俺は、最強よ」
すっかり、本物の警察官だと信じきった女性に対し、吉川被告はこう言ってきたといいます。
被害にあった女性(30代)「警察の同僚とかにも、お金を借りて回っていたと。いついつまでに一括で全員に返済しないと、懲罰を受けることになると言われて」
こうした金の無心が続き、女性は合計280万円ほどを渡しました。
しかし、その後、驚きの事実がーー。
〈本当の職業はトラック運転手〉
ある日、吉川被告の妻を名乗る女性から連絡を受け、女性は騙されていることに気づきます。さらにこの時、吉川被告の“本当の職業”についても知ることになります。
被害にあった女性(30代)
「奥さんが、吉川被告とまったく連絡が取れなくなり、婚姻届けの証人欄に吉川被告側の証人として、ある男性のサインがあったが、当時「これ誰?」と聞いたら「警察の同僚」と。
奥さんが、その人のところを訪ねに行くと、吉川被告が勤めていたトラックの同僚のおじさんだった。「4年前くらいから働いていると聞いた」
実の妻までも警察官であるとだましていた吉川被告……。
女性が真相を確かめようと、吉川被告の家に向かうと。
吉川被告
「なんの用じゃこら人の家に」
被害にあった女性(30代)
「痛いって」
吉川被告
「こっち来い」
被害にあった女性(30代)
「離して」
女性は、逆上されて押し倒され、首を捻挫するなどしました。
さらに……。
<制服は親族から盗んだ本物>
吉川被告が着ていた制服は、実は親族の大阪府警の警察官から盗んだものだったのです。
捜査関係者による「親族の家に遊びに行った際などに、誰も見ていない間に盗んだ」
検察は、吉川被告を制服2着を盗んだ罪でも起訴しました。
そして、この日の初公判。
吉川被告は、起訴内容を認めました。
検察は、詐欺を行った背景として、消費者金融に借金があり、トラックの車検の費用が必要だったことや、アプリで知り合った別の女性を妊娠させ、中絶費用と慰謝料として100万円あまりを請求されたことなどがあると指摘。
被害者の女性は、取材に応じました。
被害女性
「すごく努力して、今の地位があるという設定だったので、とても尊敬していた。いまは、あの頃の自分に、目を覚ましてといってあげたいです」
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