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【解説】観光庁が海外旅行“推進”キャンペーン発表 海外旅行の回復で好循環?『知りたいッ!』
観光庁は10日、「海外旅行に行く日本人を増やすためキャンペーンを始める」と発表しました。お得な情報もあります。なぜ今、政府が海外旅行を後押しするのでしょうか。
●パスポート“半額”支援
●無料パスに航空券も
●官民一体で急ぐワケ
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■国が海外旅行を後押し「今こそ海外!宣言」キャンペーン 航空券のプレゼントも?
今年のゴールデンウイークは海外旅行をする人が一気に増え、国際線の利用者が去年の2倍以上になりました。全日空は約16万3000人、日本航空は約15万2000人が利用しました。中でもハワイ便は、全日空が新型コロナウイルス感染拡大前の9割を超える回復だったということです。ハワイは、感染拡大前は日本人が年間約140万人訪れていた人気の観光地です。
海外旅行の気運が高まる中、10日に「今こそ海外!宣言」の記者会見が開かれました。“日本人の海外旅行熱を呼び覚まそう”というキャンペーンです。20以上の国や地域から観光局の人たちなどが一堂に集結しました。感染拡大前の2019年に海外旅行に出掛けた日本人の数は2000万人でしたが、これを2025年に回復させることを目指すというものです。
「今こそ海外!」キャンペーンでは、観光庁が旗振り役となって日本旅行業協会などと連携し、「パスポート取得費用のサポート」「旅行する人へ特典」「航空券などプレゼント」といった内容で海外旅行の機運を盛り上げるとしています。
(1)パスポート取得費用サポート
パスポート取得にかかる費用の半額(=8000円)分の電子ギフトをプレゼントするというものです。条件は、それぞれ決められた期間内に「10年のパスポートを取得または更新」し、「対象の旅行会社を通じて実際に旅行に出発した18歳以上」ということです。
ただし、このサポートは抽選で3210人限定になります。秋以降にも「第2弾」を実施するということです。
これに加えて、独自のキャンペーンを行う地方もあります。日本旅行業協会東北支部は、「パスポートの取得・更新」と先月に復活した「仙台―ソウル便を使って海外旅行」をすると、最大5000円を旅行代金から割り引くとしています。旅行期間などの条件があり、サポートの総額が100万円に達するまでの「先着順」となっています。
(2)旅行する人への特典
対象の期間である今年7月1日から8月31日に、対象の旅行会社を通じて海外旅行をした18歳以上の人に次のような特典があるということです。
●海外Wi-Fiの無料レンタル(130台)
●電源変換アダプターの無料提供(50台)
●14の観光局・大使館が賞品を提供
(3)航空券など賞品プレゼント
すでに始まっているキャンペーンで、対象の期間内に旅行会社を通じて、実際に海外旅行をした時の「写真とコメント」を、応募サイトを通じて投稿すると、選考で賞品がプレゼントされるというものです。
例えば、台湾やベトナムへの往復航空券、スイスの主な交通機関の8日間乗り放題・宿泊券、キューバのラム酒やコロンビア産コーヒーなど、様々なものが抽選で当たるということです。
■「イン」「アウト」比は5:5が「理想」 海外旅行“増”で好循環が生まれる?
なぜ今、政府は日本人の海外旅行を後押ししようとしているのでしょうか。
アメリカでは11日で水際対策が撤廃され、12日以降はハワイも含めて陰性証明書やワクチン接種証明書は一切不要になります。韓国と日本では陰性証明書・接種証明書ともに不要となっており、各国で水際対策は終了、または大きく緩和されるということです。
ただ、日本からの海外旅行は回復が遅れています。日本を訪れた外国人客、いわゆる「インバウンド」が感染拡大前の7割程度まで回復した一方、日本から海外へ行く「アウトバウンド」の回復は4割弱にとどまっています。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんによると、「インバウンド」と「アウトバウンド」のバランスは「5:5が理想」だといいます。
日本航空によると、コロナ禍で最も落ち込んだ時は国際便が1割程度まで減っていたそうです。航空会社にとっては、行きの飛行機であるアウトバウンドで便数が増えると、帰りの便でも客を乗せることが可能で、さらにインバウンドが増える「好循環」が生まれるといいます。
日本の旅行会社もアウトバウンドが増えればもうかりますし、今回のキャンペーンは「何千円お得」ということ以上に、国として海外旅行を推進する「大きなお墨付き」を与えるというメッセージの意味があるということです。
◇
日本で遅れている海外旅行の回復ですが、見知らぬ土地や人とのふれあいで、若い世代をはじめ海外に行くことでしか得られない経験や知見もあります。行けるようになった今、チャンスを生かして海外旅行をどんどん楽しんでほしいと思います。
(2023年5月10日放送「news every.」より)
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