【解説】イギリスで70年ぶりの「戴冠式」…国民の64%が“関心がない”?『知りたいッ!』
イギリスで70年ぶりとなる国王の戴冠(たいかん)式が、6日に迫っています。その全貌が見えてきました。
◇威信かけた儀式
◇金の馬車 ダイヤのつえも
◇「一生に1度」の王冠
以上の3点について詳しくお伝えします。
■未明のロンドンでリハーサル…250年以上前の馬車も
イギリスと言えば、王室メンバーの節目の記念には、国の威信をかけるような荘厳な儀式が行われてきました。2011年のウィリアム皇太子の結婚式や、2012年のエリザベス女王の即位60年、そして2022年の即位70年を祝う「ジュビリー」も非常に華やかなものがありました。
そして、今からちょうど70年前、1953年にエリザベス女王の「戴冠式」が行われました。当時、女王は27歳でした。
「戴冠式」とは、国王が王位を継承した証しとして、聖職者が「王冠」をかぶせる儀式です。今回、戴冠式を迎えるチャールズ国王は、母であるエリザベス女王の戴冠式の時は4歳でした。
そして今回、ロンドンで3日の未明から明け方にかけて、チャールズ国王の戴冠式の前後で行われる「パレード」のリハーサルが行われました。金色の馬車「ゴールド・ステート・コーチ」が真夜中のロンドンを行く姿も見られました。騎兵隊や近衛兵などが、段取りを入念に確認していました。
BBCによると、リハーサルが行われたパレードのルートは、バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院までの約2キロの道のりだといいます。これは、70年前のエリザベス女王のパレードの約3分の1の距離です。イギリスメディアによると、チャールズ国王は「スリムな王室」を目指しているそうで、70年前の戴冠式よりも費用を抑えるとみられています。
さらに、気になるのがパレードで使われる「金ぴかの馬車」ですが、実は行きと帰りで使う馬車が違います。往路に使われるのは、「ダイヤモンド・ジュビリー・ステート・コーチ」という名前の馬車で、2012年にエリザベス女王の即位60年を記念して造られたものです。6頭の馬で引かれ、木製に見えますがアルミニウム製で、窓は電動で動き、エアコンが付いている現代的な馬車です。
一方、帰りの復路で使われるのが、「ゴールド・ステート・コーチ」という名前の馬車です。こちらは今から250年以上前の1762年にお目見えした木製の馬車です。金箔(きんぱく)で覆われていて、重さはなんと4トンもあります。8頭の馬で引かれますが、歩くくらいのスピードしか出せず、エリザベス女王によると、乗り心地は「最悪だった」と伝えられています。
■「王冠」「宝玉」「王笏」…“王の権威”を象徴するさまざまな宝物
戴冠式の当日は、午前11時にチャールズ国王とカミラ王妃がウェストミンスター寺院に到着すると、戴冠式がスタートします。
国王が選んだ音楽が演奏され、国王の「承認」や「宣誓」が行われた後、戴冠に先だって国王に渡されるのが「レガリア」です。BBCによると、“王の権威を象徴する宝物”で、「君主の宝玉」「十字架の王笏(おうしゃく)」「ハトの王笏」などがありますが、中でも「十字架の王笏」の先端には、巨大なダイヤモンドが施されています。これは、実はこれまでに発見された中で世界最大のダイヤから切り出されたものだというで、「偉大なるアフリカの星」と呼ばれています。その重さは、なんと530.2カラットもあるそうです。
そして、チャールズ国王がかぶる王冠「聖エドワード王冠」があります。1661年に製作されたこの王冠は、金無垢(むく)のフレームにルビーやアメシスト、サファイアなどの宝石がちりばめられていて、重さは2キロ以上あります。この王冠は国王の戴冠式専用で、チャールズ国王もかぶるのは“生涯でたった1度きり”ということです。
この歴史的な戴冠式には、ウィリアム皇太子やキャサリン妃などのイギリス王室メンバーはもちろんのこと、ヨーロッパ王室の国王や王族、そしてアメリカからはジル・バイデン大統領夫人が参列を予定しています。
ロイターによると、70年前は8000人が参列しましたが、今回は2300人とスリム化していて、時間も大幅に短縮されます。日本からは秋篠宮ご夫妻が参列されます。70年前の女王の戴冠式には当時、皇太子だった19歳の上皇さまが参列し、戦後の国際親善の始まりとなりました。
■若者は関心がない? イギリスの世論調査の結果は
ただ、今回の戴冠式、盛り上がっている人々がいる一方で、このような調査結果もあります。調査会社「YouGov」が調べたイギリスの最新の世論調査では、戴冠式に「関心がない」という人が合わせて64%と、「関心がある」の31%を大きく上回っています。
【調査結果】
◇とても関心:9%
◇ある程度関心:24%
◇あまり関心ない:35%
◇全く関心ない:29%
中でも18~24歳では、75%が「あまり関心ない」「全く関心ない」と答えるなど、年齢が若いほど関心は低くなっていて、特に若者の間では王室離れの傾向が顕著になっています。
(2023年5月3日放送「news every.」より)
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