【報ステ】増える“海外拠点”犯罪…“電話で完結”その手口は?カンボジアの19人逮捕(2023年4月11日)

【報ステ】増える“海外拠点”犯罪…“電話で完結”その手口は?カンボジアの19人逮捕(2023年4月11日)

【報ステ】増える“海外拠点”犯罪…“電話で完結”その手口は?カンボジアの19人逮捕(2023年4月11日)

カンボジアを拠点に特殊詐欺をしていた男19人が、チャーター機で日本に送還されました。海外で暗躍する詐欺グループの摘発が相次ぐなか、異例の大がかりな一斉送還となりました。

19人は25~55歳で、全員が日本人の男です。東京都内の60代女性から電子マネー二十数万円をだまし取った疑いで逮捕状が出ています。午後7時半ごろ、警視庁は機内で全員を詐欺の疑いで逮捕しました。

グループの手口はこうです。捜査関係者によりますと、NTTドコモを装って、ショートメールやEメールを送り付け、記載した番号に電話をかけてきた人に「有料サイトの未払い料金がある」などと言って、コンビニなどで電子マネーを購入させ、そのカードに記載された番号を聞き取っていた疑いがあるといいます。

最近、不審なメールが届いたという人は増えているようです。

市民:「『不在の荷物を預かってます』とメールがあって、その時ちょうど荷物を注文していたので『不在の荷物が届いたんだ』と思って押したら、アップルのアカウントをそのまま乗っ取られてしまって」

市民:「請求書未払いとか、全く契約したことのない会社とか、銀行とか、そういうところからショートメールが入る時がありました。(Q.『滞納があります』という文言だと、どう感じるか)ちょっとドキッとします。本当にあったのかなって」

なぜ、こうした手口が増えているのか。特殊詐欺の内情に詳しい人物に話を聞きました。

特殊詐欺の内情に詳しい人物:「(Q.こうしたメッセージが増えているような)多いでしょうね。それはなぜかっていうと、コロナの2年間に外に出なくなった人が多くなった時に、物を頼む時に通販で頼んだと思うんですよ。データが2年の間に漏れてしまっています。その数もちょっと半端じゃないので」

グループが拠点を置いたのは、カンボジア南部のシアヌークビルにあるリゾートホテルです。情報提供を受けた現地当局が捜索に入ったのは1月下旬のこと。

ホテル近くの屋台従業員:「夕方に警察が大勢来たのを見た。朝になって全員連れていかれた。大きな騒ぎは、その1日だけ」

部屋からはスマホ60台やパソコン、詐欺のマニュアルなどが見つかったといいます。

現地当局:「日本人19人は調べに協力的ではなく、何も答えませんでした。パソコンは何重もパスワードがかかり、ログインすることも難しかった」

なぜグループは、カンボジアのリゾート地に拠点を置いたのでしょうか。

特殊詐欺の内情に詳しい人物:「簡単に言うと、海外旅行させて、リゾート地を選んだのも単純で、向こうは物価も安いですし、遊び感覚で行っていますので。役人・警察に対し、ある程度の金額を出せば大目に見てくれるから」

中国企業によるリゾート開発が進むシアヌークビル。内情に詳しい人物によりますと、中国マフィアと日本の暴力団をつなぐ場所として知られている地域だといいます。

特殊詐欺の内情に詳しい人物:「逃亡先の1つと、薬物のルートを確保するということで、反社勢力がおのおの縄張りがある。日本での振り込め詐欺はうまみがあったので、それを始めようと作られたのが海外の拠点」

19人のなかには暴力団関係者がいて、その人物が中心的な役割を担ったとみられています。警視庁は、暴力団の関与についても調べを進める方針です。

【“受け子なし”だまし取る手口は?】

警視庁担当の社会部・金井誠一郎キャップに聞きます。

(Q.暴力団関係者が関わっていたということですが、詳しい情報は入っていますか)

金井キャップ:「リーダー格とみられる男が暴力団関係者ということで、暴力団の資金源になっていた可能性があります。実際に捜査を行っているのは、詐欺などを担当する捜査2課ではなく、暴力団対策課です。今回のグループでは、国内に受け子のような仲間は確認されておらず、海外から直接金をだましとるスタイルをとっていたといいます。より摘発を逃れるため、関わる人物、仲介する人物を減らしていたとみられています。警視庁はすでに、現場で使っていたとみられる、60台以上のスマホ、犯行に使われた情報の記されたメモなどを押収しています。その解析などから、他に指示役がいないかどうか、日本に協力者がいないかについても捜査しています。また、国内ではすでに、数十件の被害があるという情報もあります、他の被害者についても確認を行い、容疑が固まり次第、再逮捕していく方針です」

今回のカンボジア以外でも、ここ最近、日本人の詐欺グループが海外で摘発されています。2017年には中国で、振り込め詐欺グループの日本人男女35人拘束。2019年にはタイで、架空請求を繰り返し15人摘発。2019年にはフィリピンで、特殊詐偽の疑いで日本人36人の身柄拘束。今年2月にはフィリピンで、特殊詐偽で渡辺容疑者などが逮捕されました。

(Q.なぜ犯罪グループは海外を拠点にするのでしょうか)

金井キャップ:「その理由は、なんといっても摘発を逃れるためだと考えられます。国内であれば、防犯カメラの解析、携帯の発信履歴など、捜査しやすいことも、海外であれば非常に難しくなります。また、現地の法整備も甘く、現地で拘束されにくいことも挙げられます。特に東南アジアは、日本人観光客も多く、日本人の信用もあるため、複数回の出入国や長期滞在も目立ちにくいと言えます。また、物価も比較的安いうえに通信設備などもそろえられるため、犯罪のインフラが整えやすいことも挙げられます」

(Q.なぜ今回、チャーター機を使う異例の移送態勢となったのでしょうか)

金井キャップ:「チャーター機を使ったのは、カンボジアからの直行便がないことがあります。また、19人と容疑者の数が多いため、関係機関と調整を行った結果、他の乗客の安全性確保などを踏まえて、チャーター機がベストな選択肢であるという結論に至ったようです。フィリピンの特殊詐欺事件をはじめ、増加傾向にある海外拠点の特殊詐欺を絶対許さないという雰囲気が、警視庁にはあります。今回のチャーター機や、少ない情報から、1つの容疑で19人全員を逮捕するなど、あらゆる手段を使って日本に身柄を移し、摘発するという、警視庁の強い覚悟が感じられます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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