「操船ミスがあった」運航組合が会見 京都“保津川下り”転覆 29人乗船1人死亡(2023年3月28日)

「操船ミスがあった」運航組合が会見 京都“保津川下り”転覆 29人乗船1人死亡(2023年3月28日)

「操船ミスがあった」運航組合が会見 京都“保津川下り”転覆 29人乗船1人死亡(2023年3月28日)

 京都の嵐山と亀岡を結ぶ保津川で、川下りをしていた船が転覆しました。乗っていた29人のうち、船頭の男性の死亡が確認されました。さらに船員1人が行方不明になっていて、現場では現在も救助活動が続いています。

■京都“保津川下り”転覆 不明者も

 乗客たちは疲れ切った様子で岸に戻ってきました。

 事故から1時間ほど、ヘリからのカメラが船を捉えます。少し浅い場所なのか白波が立つ川も。ひっくり返り、船底を上に向けています。

 川岸には乗船していた人でしょうか。立ち尽くす人、座り込む人の姿が見えます。黄色い救命胴衣でしょうか。人々が支え合う姿も見えます。

 事故が起きたのは、亀岡市と京都市の嵐山にかけての川を下る「保津川下り」の船です。大人と子ども、船頭合わせて29人が乗っていたとみられます。警察によると船頭1人が死亡、40歳の船員が行方不明となっています。

 後ろの船に乗っていた乗客:「(Q.当該の船より前に乗っていた?)後ろです」「(Q.転覆した船は見た?)うん、見たけどもう沈んでいた」

 別の船に乗っていた人:「(Q.心臓マッサージを?)されてましたね。岸に止めて助ける人たちは助けてという感じ」

■“保津川下り”29人乗船 1人死亡

 春休みシーズンに一報が入ったのは正午ごろ。

 消防への通報:「後方で保津川下りをしていた船が転覆した。二十数人が乗っていたと思う」

 これは動画サイトに上がった川下りの公式動画です。山間を走る船。大きな波しぶきをあげながら進みます。川を下りながら大自然を間近に感じることができ、船頭の巧みな竿さばきも見どころの一つです。

 亀岡を出発、およそ16キロの川下りは時間にして2時間ほど。嵐山に到着するコースです。事故が起きたのは、コースの中間あたり。流れの激しい大高瀬あたりだという情報もあります。

 3年前、番組関係者が乗った際の動画です。急流になると、船は大きく揺れて波しぶきが上がっています。

 船が出発したのは午前10時半すぎ。30分ほど下った流れの激しい地点で座礁した後に転覆しました。

 岸に戻ってきた乗客、水に落ちたのでしょうか。髪が濡れている様子が分かります。

 別の船に乗っていた人:「救命胴衣を着けている人たちがらほらいたので、もしかしたらという感じ。船(の姿)が分からなかった。沈んでいたのか、そのまま流れていったかは全然。(乗っていたのは)前の船なので」

 今月12日には、春の観光シーズンを前に安全を祈願するイベントが行われていました。定員は30人。つまり、ほぼ満員です。外国人観光客も6人乗っていました。国籍は分かっていません。

 座席は4人掛けの椅子が6列、船頭と船員合わせて4人が乗っていました。死亡したのは船頭です。

■“平年の倍の雨” 操船ミスか 

 事故原因は何が考えられるのでしょうか。

 一般社団法人水難学会・斎藤秀俊会長:「通報段階で座礁ときている。ぶつかって操船不能になると同時に客を避難させないといけない。船上の動きが慌ただしくなると、ああいう船だからひっくり返りやすくなる。船の上の動きが慌ただしくなってから、ひっくり返ったということかな…」

 京都では27日までの10日間の雨量が75.0ミリと平年の2倍の雨が降っていて、水かさが増していた可能性があります。

 渡月橋で渡船業を営む人:「(Q.日ごろより水が高い?)うん、いつもと違う水の高さ。水がまだ多い。皆流されるからさっきみたいに引っ張りに行ったりしないと。(保津川下りは)安全な範囲になったら運航する船。きょうは保津川下りは安全だからきのうは止まっていたけど、きょうからやっている」

 国交省の基準では、水かさが85センチ以上だと運航中止ですが、今回は69センチだったため、規定通り4人の船頭を配置し出航したそうです。4人とも10年以上のベテランだということです。

 渡月橋で渡船業を営む人:「世代交代、船頭さんの。古い船頭さんが皆バトンタッチして、知らないような人ばかりになってきた。皆、若い子になったでしょ」

 運航会社:「川は多少増水していたが、運航に問題はないと判断した。風は強くなかった」

 別の船に乗っていた人:「初めてだったので、そんなに速いなとは思わなかった」

 一般社団法人水難学会・斎藤秀俊会長:「(Q.転覆からの救助で一番大事なこと)水温。今の時期はかなり水が冷たい。流れが急で(体の)熱の奪われ方は止まっている水と流れている水で10倍ほど違う。去年のKAZU1もきつかった。普通の水温よりかなり熱を奪われる状況で救助を待たなければならない。そこがきつい」

 28日午後、運航会社が会見。事故原因について語りました。

 保津川遊船企業組合・豊田知八代表理事:「舵(かじ)を持っていた船頭が船の外に落ちてしまった状態に。それに対して前に船員があと3名乗っているが、その船頭が櫂(かい)と竿(さお)で態勢を立て直したんですが、急流を出たところの渦で少し船が左へ曲がりまして、左側にある石に正面から当たったと聞いております。当たった船が左へスーッと石に沿ってスライドして横にへばり付く形のなかでゆっくりと船が回転(転覆)していった。お客様と船員らが船の外へ投げ出され、川に落水されたという状況です」

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字 
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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