【解説】鉄道運賃続々値上げ バリアフリー料金とは? 『NEWS1から解説』

【解説】鉄道運賃続々値上げ バリアフリー料金とは? 『NEWS1から解説』

【解説】鉄道運賃続々値上げ バリアフリー料金とは? 『NEWS1から解説』

鉄道開業150年をむかえた2022年、鉄道業界は各地で盛り上がりを見せました。そして今年は「相鉄・東急新横浜線」など新線の開業で利便性が増す一方で「鉄道駅バリアフリー料金制度」の導入で鉄道運賃の値上げも来月から相次ぐ。制度導入の背景を解説する。<社会部国土交通省担当・佐々木恵美>

■都心へのアクセスが便利に 「相鉄・東急新横浜線」開業
3月18日に開業する「相鉄・東急新横浜線」。新たに日吉駅から新横浜駅を経由し、羽沢横浜国大までを結ぶおよそ10キロの路線だ。東京都心への所要時間が短縮され乗り換え回数が減少されるほか東海道新幹線へのアクセスも向上する。
JR東海の金子社長は、定例会見で大きな期待を寄せJR東海としても「便利さをレベルアップできるよう努力したい」と話した。

東海道新幹線は、新線開業にあわせ3月18日から新横浜駅発の「のぞみ」を運転する。利用客の多い土曜日や月曜日を中心に運転され午前6時3分に新横浜駅を出発し新大阪駅には従来の列車より6分早い午前8時6分に到着するという。

■栃木では雷モチーフのLRT
3月27日には福岡市の地下鉄「七隈線」の天神南と博多間が延伸開業し、8月には栃木県の宇都宮市と隣の芳賀町に次世代型路面電車「LRT」が開業の見込みだ。

LRTとは、「Light Rail Transit」の頭文字。車両の床が低く街中から乗り降りしやすい構造となっている。宇都宮駅の東口から芳賀町の工業団地を結ぶ交通の要として、マイカーによる深刻な渋滞を緩和する狙いだ。

車体は黒と黄色のカラーのLRT。宇都宮は「雷」が多い場所で、「雷都」と呼ばれることから、「稲光」をモチーフにしたという。

■相次ぐ値上げ 「バリアフリー料金制度」とは
JR東日本や東京メトロ、小田急電鉄など首都圏の鉄道会社は3月18日から、関西は4月1日から運賃の値上げがおこなわれる。これは、国土交通省がおととしにつくった「鉄道駅バリアフリー料金制度」の導入によるものだ。
現在、各鉄道会社が急ピッチでホームドアやエレベーターなど設置でバリアフリー化を進めている。設置費用だけでなく維持していくための費用もかかるため鉄道事業者が その費用を利用者から徴収していいという国の制度だ。
制度の導入にあたり国は2018年にアンケート調査を行った結果バリアフリー整備費用を運賃に上乗せして利用者が負担することに、賛成とこたえた人がおよそ5割、反対は2割弱だった。

ただ、その後に行われた調査で「利用者が負担することに異論はないが、著しくバリアフリー化の受益を受ける者については相応の負担増を求めるべき」といった意見や「バリアフリー化は福祉政策なので国民全員の負担である税金などでまかなうべきだ」という声もあがった。

これに対し国はエレベーターやエスカレーター、ホームドアというのは高齢者や障害者だけでなく利用する人すべてが利益を得られるという観点から都市部の利用者から薄く広い負担をしてもらおうと、この制度の導入を決定した。利用者が多い都市部で薄く広く負担してもらい、整備が進まない地方に国の予算を投入するというねらいもあるという。

■各社10円程度の値上げへ
「鉄道駅バリアフリー料金制度」を導入する鉄道会社は各社10円程度の値上げとなる。

JR東日本は首都圏の普通運賃をICカード・切符ともに10円の値上げ。通勤定期も値上げがおこなわれるが家計の負担に配慮して通学定期は据え置くという。

10円上乗せし、ホームドアの設置を当初の660か所から758か所に拡大。整備時期を1年前倒しして2031年度末ごろまでに完了したい考えだ。国としてもこれまでの2倍のペースでホームドアの設置を目指している。

■オフピーク定期券で通勤時間は値下げ
JR東日本は値上げの一方で、3月18日から「オフピーク定期券」を導入します。これは新型コロナの影響で高まる混雑緩和のニーズをふまえたもので朝の混雑時間帯を避けた通勤客の定期券をおよそ10パーセント値下げする。
山手線や京浜東北線、中央線など首都圏の16線区279駅で平日のピーク時間帯を避けて入場する場合に利用できる。この「オフピーク定期券」はSuicaのみでの販売となる。設定されるピーク時間は駅によって異なり、例えば、千葉駅では午前6時35分から午前8時5分、横浜駅では午前7時から午前8時30分などとなっている。ただ、オフピーク定期券でピーク時間に乗車した場合は、通常料金がかかるため注意が必要だ。

■京急は値上げと値下げ
京浜急行電鉄は今年10月から値上げと値下げを同時に行うという珍しい改定をする。近距離は10円から40円値上げする一方で遠距離となる41キロ以上の区間は値下げし、最大210円安くなるという。値下げで三浦半島への観光客を増やし沿線を活性化したい考えだ。

京浜急行は、関東の大手民鉄の中でも鉄道収益や輸送人員ともに大きい減少率で2年連続で大幅な赤字となっている。コロナ前の利用者の水準への回復は難しいといわれる中、安心して利用してもらうための設備などを整備するために値上げをするという。

各社運賃の値上げが続くが徴収した運賃の利用計画、実績などを明確にして利用者の理解を得ることが重要となる。
(2023年2月22日放送)

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