【LGBT法案】一転“前向き”に…3つの理由「差別発言」「サミット」もう1つは?
2年前に提出が見送られた、LGBTの人への理解を促す法案。岸田首相は一転、前向きな姿勢を示しましたが、安倍元首相の死去も背景にあります。同性婚や選択的夫婦別姓など、より踏み込んだ対応を求める声も上がる中、法案の中身や今後の行方を考えます。
■法整備が遅れるのはG7で日本のみ
有働由美子キャスター
「LGBTの人たちなどへの理解を促進するための法案について、岸田首相は8日、国会で初めて前向きな姿勢を示しました。2年前には見送られていましたが、何があったのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「今動き出した理由は3つあります。1つ目は荒井勝喜(まさよし)前秘書官の同性婚などを巡る差別的な発言です。2つ目に、G7で日本だけ法整備が遅れる中、5月の広島サミット開催の前になんとか成立させたいという思いがあります」
■安倍元首相、法案反対の保守派支援か
小栗委員
「そして3つ目が、安倍元首相の死去です。安倍元首相は、法案に反対する保守派を支援していたとされています。生前、LGBTの人たちへの差別を許すことはしなかったそうですが、関係者によると、周囲に『法律にする必要はない』と話していたといいます」
「法案推進派の自民党議員は『安倍元首相が生きていた頃は反対せざるを得なかった部分はあるかと思うが、そんなに反対ではないという人もいる』と分析しています」
■「差別は許されない」に保守派が反発
有働キャスター
「今回、どんな法案になるのでしょうか?」
小栗委員
「一昨年に超党派の議員連盟が成立を目指したのは、性的な多様性に寛容な社会を目指そうという理念をうたう法案ですが、国会への提出が見送られました。法の目的などに『差別は許されない』」という文言が明記されたのが1つの理由です」
「これによって、何が差別なのか人それぞれ違う中、『これは差別だ』と権利を主張する裁判が相次ぐのではないかと、伝統的な価値観を重んじる自民党保守派の議員たちが反対しました」
「まずはこの時の法案がベースになりますが、いまだに自民党の反対派には『こうしたことを一時の雰囲気で決めるのはいかがなものか』という声も根強くあります」
■「同性婚」「夫婦別姓」求める声も
小栗委員
「社会の多様性という点では、野党からは同性婚の実現を求める声もあります。自民党の閣僚経験者からは『今話している理解促進法の成立程度では、政権の本気度は示せない。せめて選択的夫婦別姓くらいやらないと』という声もあります」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「一般的に『差別は許されない』というのは、政治的スタンスや思想信条を問わず、そもそも当たり前のことだと私は思います。そこに対していまだに、個人の感情論とも思えるような反対意見を言う国会議員がいること自体、本当に残念な状況だなと思います」
「G7の中で同性婚が認められていないのはいまだに日本だけという現状で、差別禁止や同性婚の実現に向けた議論ではなく、理解を促す法案ですら進められていません。政治家の皆さんこそ、理解促進してほしいなと強く思います」
有働キャスター
「その先に踏み込んだ結論となるのか、注目です」
(2023年2月8日放送「news zero」より)
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