【サンマ不漁】全国の水揚げ量4年連続最低 銚子港「ゼロ」…ロシアの影も
全国のサンマの水揚げ量が、4年連続で過去最低を更新したことがわかりました。かつて水揚げ量日本一を誇った千葉の銚子漁港では、初の「ゼロ」になりました。サンマは、どこに消えたのでしょうか。専門家が原因として挙げたのは、“ロシアの存在”です。
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11日、東京・練馬区の居酒屋「酒蔵厚岸」では、塩をまぶして、脂ののったサンマをじっくりと焼き上げていました。実はこのサンマは妹の水産加工会社から送ってもらったもので、家族やお得意さまのために店主がコッソリしまっていたといいます。
今シーズンは出回る量が極端に少ないため、「塩焼き」は取りやめ、「干物のサンマ」だけを提供しているといいます。
店主からは「庶民的なサンマが…どんどん…。そのうち1000円でも買えなくなるのが恐ろしい」と嘆きの声が聞かれました。
お客さんからは「秋に見かけた時に、サヨリかと思うくらい細くて、すごくびっくりしておののいて帰ってきました」、「お肉の方が安く買えて、それだったら肉でいいかなと」という声が聞かれました。
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サンマが、かつてない“ピンチ”を迎えています。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、全国の水揚げ量は1万7910トンで、4年連続で過去最低を更新しました。
また2022年の卸売価格は10キロあたり5758円と、水揚げのピークだった2008年の673円と比べ、8.5倍となりました。
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特に深刻なのが、かつてはサンマの“日本一の水揚げ”を誇った千葉・銚子市です。銚子漁港近くにある「宮内鮮魚店」は、常連客から「スーパーなどにないものでもそろっている」と言われています。しかし…
常連客
「サンマ! 今年捕れないでしょ全然! 全く揚がってないでしょ!?」
店主
「(サンマ)入って来ないですよ。1回も。(数年前の仕入れは)2か月で500キロくらいか。サンマだけで」
――去年(今シーズン)はゼロ?
店主
「ゼロ!!」
銚子市のあづま寿司では、通常はサンマの「なめろう丼」を提供しているといいます。店長は「今年も、もうゼロって感じで、全く揚がっていない状態。ずっと最近、扱っていないですね」と現状について話しました。
銚子市の魚の年間水揚げ量は、12年連続日本一を誇っています。しかし、全国さんま棒受網漁業協同組合によると、サンマに関しては、初めて「年間ゼロ」という前代未聞の事態に陥っていたのです。
そのため鮮魚店では、泣く泣く銚子以外の産地から取り寄せることになりました。昨日は北海道で捕れたサンマの干物を販売していました。
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サンマは、どこに消えたのでしょうか。今シーズン、サンマの漁獲量が特に少ない理由として挙げられているのは、ロシアの存在です。
水産研究・教育機構 水産資源研究所 巣山哲主幹研究員
「一部の魚がロシアおよび北方領土の海域に入ってしまって、漁獲できなかった」
巣山氏によると、そもそもサンマは北からの「親潮」と南からの「黒潮」がぶつかる潮目に集まる傾向があります。
しかし、今シーズンは海水温の上昇などで、北方領土付近まで潮目が北上しました。これまでは北方領土付近でも漁ができていましたが、2022年はロシアによるウクライナ侵攻の影響で、一部エリアで日本の漁船が操業できなくなりました。そのため、水揚げ量に影響した可能性があるといいます。
さらにサンマの質についても、巣山氏は「(海の環境の変化で)サンマがやせていることで、遊泳能力が落ちたり、子どもが生まれて育つ環境もサンマにとって良くない」と話し、ここ数年は数自体も減少していると指摘しました。
年々、収穫できる漁場も遠くなっていることなどから、サンマの不漁は今後もしばらく続きそうです。
(2023年1月11日放送「news zero」より)
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