英病院の日本人看護師「病欠や隔離で人手不足」欧州各地でコロナ対策に反発
ヨーロッパでは、政府の新型コロナ対策に反発するデモが各地で起きています。一方、人手不足への対応が深刻となっていますが、イギリスの医療現場で働く日本人看護師が最前線の現状を語りました。
ベルギー・ブリュッセルで行われた政府の新型コロナ対策への抗議デモ。５万人が参加したと報じられていますが、一部が暴徒化し、ＥＵ＝ヨーロッパ連合の関連機関の建物のガラスを割るなどしました。７０人が拘束され、１５人が病院に運ばれたということです。
政府が追加接種をすすめるため、ワクチン接種証明の有効期限を９か月から５か月に縮めると発表したことに対し、“接種の強制だ”などと反発の声が上がっています
また、スウェーデンでも政府がワクチンパスの利用範囲を拡大していることに反発するデモが行われたほか、フランスなどでも抗議デモが起きています。
一方、医療機関の人手不足が続くイギリス。中部の病院で働く日本人看護師が、現場の窮状を語りました。
看護師 ピネガー由紀さん
「スタッフの病欠や隔離で困っているのは確かです。少しでも人数配置が均等になるように、ほかの部署に回されます」
イギリス政府はオミクロン株の感染ピークは過ぎたとしていますが、現在も１０万人前後の新規感染者が出ています。ロンドンを含むイングランドの公的医療機関では、コロナ感染や濃厚接触を理由にした医療従事者の欠勤者がおよそ３万人に上っていて、政府は軍の衛生兵ら２００人を投入して、急場をしのいでいる状態です。
記者
「医療従事者の人手不足の影響は、こうしたワクチンの接種会場でも起きています」
看護師のピネガー由紀さんは、応援でワクチンの接種会場でも仕事をしていますが、看護師の欠勤が相次ぎ、接種がスムーズにいかずクレームを受けるなど、現場は大混乱したといいます。
看護師 ピネガー由紀さん
「ワクチン会場の方から“何時に来てください”と言っておきながら、会社を中抜けしたのに、２時間待て、３時間待てとは、どういうことなんだと」
こうした人手不足を解消するため、政府は感染者の自主隔離期間を先月下旬に従来の１０日から７日に短縮すると発表。さらに今月１７日からは５日にまで短縮しましたが、ピネガー由紀さんは感染拡大防止の側面からは、拙速すぎないかと不安も感じています。
看護師 ピネガー由紀さん
「一個人としての意見なんですけれども、つい最近１０日から７日に減らしたばかりだと思うんですね。もうちょっと（様子を）見てからでもいいんじゃないかなと個人的には思います」
日本でも懸念されている医療現場の人手不足。「医療崩壊の回避」と「感染拡大の防止」をどう両立するのか、難しい対応を迫られます。（2022年01月24日15:06）
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