【SOGIハラスメント】性自認を侮辱されうつ発症 “上司の嫌がらせ音声”は…
性的指向や性自認を侮辱するなどの行為、いわゆる「SOGIハラスメント」による労災が認定されました。戸籍上は男性で女性として生活するトランスジェンダーの会社員は、ハラスメントでうつ病を発症しました。記録された上司とのやりとりの音声は…
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戸籍上は男性で女性として生活する「トランスジェンダー」の会社員・佐藤さん(40代・仮名)は「会議の中で、私のことをあえて『彼』と呼んだりとか、ほかの女性社員には『○○さん』と呼ぶところを、私には『○○くん』と、どんどん自分の心が壊れていった」と話していました。
佐藤さんは、勤務先の神奈川県の製造会社で上司から性的指向や性自認に関するハラスメント「SOGIハラ」を受け、4年前にうつ病を発症しました。
(※Sexual Orientation=性的指向 Gender Identity=性自認)
2018年、佐藤さんは上司とのやりとりの音声を記録していました。
佐藤さん(40代・仮名)
「わざと言ってるんでしょ? 『彼』って」
上司
「君は『彼』でしょ? 仕事の中身で彼が…あっ、彼じゃないのか。彼女が」
佐藤さん(40代・仮名)
「彼女と言いたくなければ、彼女と言わなくてもいいけど、彼はやめてください」
佐藤さんは、10年以上前から髪を伸ばし始めました。すると、上司から「髪長いね」、「髪切らないの?」などと、笑いながらたびたび言われていたといいます。
そして5年前の2017年11月、性自認が女性であることを会社に公表しました。その直後、一切説明なく、本社とは異なる事業所へ配置転換を命じられました。
カミングアウト後も、上司からのSOGIハラが続きました。執拗(しつよう)に「彼」や「君」と呼び続ける上司に、佐藤さんが抗議しました。
すると、佐藤さんの上司は「君のことを、女として見ることなんてできない。性別変更できるんだから、できてから言いなさい」、「君にやってもらうことはないよ」と性自認を否定するだけでなく、担当業務から外そうとしたというのです。
執拗に「彼」と呼ぶ様子は、2018年の音声データにも残されていました。
佐藤さん(仮名)
「『彼』じゃないって、私、多分 10回くらい言いましたけど、何度言っても『彼』『彼』としか言わないし」
上司
「君は『彼』でしょ? 僕はだから君が戸籍が女性に変われば『彼女』とか」
佐藤さん(仮名)
「もう話したくないこの人とは。なんでそんなこと言うのかな…」
上司
「女性らしいと見られたいんであれば、そういう細やかな心遣いっていうのも必要なんじゃないか」
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「SOGIハラ」を受けた佐藤さん(40代・仮名)
「私は感極まって、泣いてました。会社の対処がほとんどなかったことが、徐々に私を絶望に追いやったんだろうと」
佐藤さんは会社に相談しても、SOGIハラは改善されず、2年半以上の休職を余儀なくされました。今年、労働基準監督署に労災が認定されました。
代理人弁護士によると、長時間労働を伴わないハラスメントのみでの労災認定は極めてまれなケースだということです。
体調や会社の環境も改善し、佐藤さんは2021年9月に復職できましたが、「カミングアウトしようとしても、なかなかできなかったりすると思う。どんな立場にいる方であれ、ハラスメントにあわないような職場を作っていく必要があると思うし、そのためには職場・社会全体での理解っていうのは当然重要」と話しました。
よりそいホットライン
0120-279-338
※岩手県・宮城県・福島県は0120-279-226
(2022年11月10日放送「news zero」より)
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