「ここには宗教も人種もない」BBQ聖地で大越キャスターが聞く“分断”米中間選挙(2022年11月7日)
アメリカの中間選挙では、人種や貧富の格差と言った“社会の分断”が争点となっています。アメリカの人々は自分たちの問題をどう捉えているのでしょうか。アメリカのソウルフード、バーベキューに集う人たちに大越キャスターが本音を聞きました。
テキサス州・オースティン近郊の街、ロックハート。テキサスのバーベキューの首都に定められている街で、6日、フェスティバルが開かれていました。先住民とヨーロッパからの移民、そして、奴隷としてアフリカから連れてこられた人々の調理技術が融合したソウルフード。まさにアメリカの多様性を具現化した料理でもあります。
テキサスには、州都・オースティンから南部のサンアントニオにかけて、『バーベキュー・トレイル』、日本語にすると『バーベキュー街道』があり、大小、数多くの店がひしめき合っています。
何を求めバーベキューのもとに集まるのか。1900年創業の老舗に行ってみました。肉を網や鉄板で焼けば、何となくバーベキュー扱いされる日本とは違い、こちらでは塊肉を長時間、低温で燻してつくる職人芸。熟練の技が要求されます。
大越キャスター:「テキサスの人々にとってバーベキューとは」
男性:「とにかく、いつも食べています」
女性:「胃袋の神様です。 時間と労力、忍耐のたまものです」
男性:「 子どものころ、祖父がグリルに立つ姿を見て育ってきました。みんなが集まって、談笑して学べる場所」
大越キャスター:「バーベキューはアメリカの力の源か」
女性:「そうです。バーベキューの力は本当に大きい」
女性:「テキサスだけでなく、アメリカ全土でバーベキューは大事。みんな最高のバーベキューを探し求めています」
アメリカの人々の心をつなぐバーベキュー。しかし、この国に分断が存在することも否定しがたい事実です。中絶の権利を認めるか認めないか。自由と豊かさを求め、国境を越えようとする人々を受け入れるのか、受け入れないのか。どれほど命が奪われようとも、銃規制をめぐる議論は平行線のままです。
皆さんに聞いてみました。
大越キャスター:「ご家族にとって、いちばんの心配は」
女性:「私は政治の分断とインフレが心配です」
男性:「インフレです。(企業は)価格を上げるのに、最低賃金は上げない」
男性:「犯罪が多すぎるし 政治家は常に互いに争っています」
女性:「話し合いで妥協点をみつけられない。過激な考え方があふれている。
大越キャスター:「メディアは分断を叫んでいますが」
男性:「分断は確かにある。でも根本的な価値観は今も生きていると思います。家族やコミュニティを大切にしたいという気持ちです」
大越キャスター:「今のアメリカに不安は」
男性:「今までは支持政党が違う人も仲良くできた。今の社会の分断は、政治的分断を反映していて、価値観を共有できる相手としか交流しなくなりました」
ただ、彼らも悲観はしていないようです。
大越キャスター:「アメリカはいい方向と悪い方向、どちらに向かっていますか」
男性:「アメリカには多くの浮き沈みがあったが、いつも回復力を発揮してきました。だから明るい未来が待っていると信じています」
男性:「今のアメリカをみて“悪い”というのは簡単ですが、振り返れば、例えば70年ほど前はもっと悪い状況でした。20年前と比べてもそうです。今の世界やアメリカは、よい方向に向かっています」
男性:「アメリカ人の真骨頂は、他人や地域社会を尊重する精神。自由に生きて、正しい行いをすること。他者を尊重し続けるかぎり、正しい方向に向かうはずです」
アメリカ人の強さと楽観性。窯を見守るバーベキュー職人の言葉にそのヒントがありました。ひと手間ひと手間が味を左右するバーベキュー。その職人技を極めるのが“ピットマスター”です。朝6時~夜8時まで働くロイ・ペレスさん。なぜ、そこまで心血を注ぐのでしょうか。今は亡きボスからかけられた言葉があるそうです。
“ピットマスター”ロイ・ペレスさん:「ボスに『上りつめた後はどうなる」と聞かれ、『落ちるだけ』と答えた。ボスは『そうだ 、俺は誰も欠けることなく、頂点にとどまりたい」と言った。残念ながら数年前に他界したが、その言葉は忘れない。ボスを失望させたくない。(Q.多くのお客さんが料理を楽しんでいますね)ここは私の家みたいなもの。毎日が日曜日だ。家の裏庭で、誕生日やクリスマスに、集まる人たちに料理をふるまって、みんなを笑顔で帰したい。ここには宗教も人種もない。あらゆる人種の人が集まり、隣り合う光景を守りたい。それが私の思いだ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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