【解説】今の保険証が使えなくなる? 「マイナンバーカード」と“一本化”へ

【解説】今の保険証が使えなくなる? 「マイナンバーカード」と“一本化”へ

【解説】今の保険証が使えなくなる? 「マイナンバーカード」と“一本化”へ

政府が今の保険証を2024年の秋にも原則廃止し、「マイナンバーカード」に一本化する方向で調整していることがわかりました。

◇「マイナ保険証」に一本化
◇個人情報は大丈夫?
◇利用者のメリットは?
以上の3点について詳しくお伝えします。

■「マイナ保険証」が“事実上の義務化” 街の声は
政府は、現在の保険証を2024年にも原則廃止する方向で調整していることがわかりました。代わりにマイナンバーカードを保険証として利用する形「マイナ保険証」に一本化する方向で、河野デジタル相が近く発表する見通しです。

保健証を「原則廃止」と言われると、「え?」となった人もいると思います。12日、街で声を集めてみました。

マイナンバーカードを持っていない(30代)
「持ってないです。(マイナ保険証が)ないと暮らしに支障があると、それが決まりになるのであれば持ちます」

マイナンバーカードを持っている(20代)
「1回、保険証とかを落とした経験があって、(個人情報が)集約された1枚を持ち歩かないといけないとなると不安ではあります」

マイナンバーカードを持っている(70代)
「使ったことはないです。大切にしまってます。保険証と診察券とお薬手帳。マイナンバーカード1枚でそういうのが全部できるなら、楽は楽ですよね」

現在の保険証がもし廃止となれば、多くの国民がマイナンバーカードを持たなければならないことになるので、「事実上の義務化」という声もあります。

■マイナンバーカードの普及率は? 申し込みでポイントも
では、このマイナンバーカードがどのくらい普及しているかというと、今月10日時点で全国の交付率は49.5%と、だいたい2人に1人が持っているという状況です。

政府は来年3月までに「ほぼ全国民への普及」を目指していて、そのために現在行っているのが、「マイナポイント第2弾」という最大2万円分のポイントがもらえるキャンペーンです。この中には、「マイナ保険証」としての利用を申し込みすると、7500円分のポイントがもらえるというものもあります。

■毎月の保険証の確認や更新が不要に! 医療機関や薬局によっては注意も
これまでの保険証をマイナ保険証に代えると、どんなメリットがあるのでしょうか。マイナ保険証が使える医療機関や薬局に限った話ですが、例えば、これまで医療機関に行くときは「健康保険証」「診察券」「お薬手帳」が全て必要でしたが、原則として、これらをマイナンバーカード1枚にまとめることができるようになります。ただ、医療機関や薬局によっては、これまでの紙やカードのものを残すケースもあるので、注意が必要です。

また、月に1度の保険証の確認が要らなくなるそうです。さらに、引っ越しや転職、そして結婚をすると、これまでの保険証はその都度、更新が必要でしたが、マイナ保険証なら更新が必要なく、ずっと使えるということです。

また、マイナ保険証を医療機関で登録すると、患者が過去に受けた「診療の内容」や「お薬の情報」などを、医師や薬剤師が見られるようになります。例えば、以前、眼科の先生が出した薬の情報を、耳鼻科の先生が画面上で確認することもできるようになります。

患者としては、わざわざお薬手帳を持ち歩いて説明する手間がはぶけます。さらに、過剰な投薬や無駄な検査を防いで、患者の「医療費が減る」ことにつながるメリットもあるということです。ただ、ある病院などで診察を受けたことを別の医療機関などに知られたくないこともあると思いますが、患者側がどの医療機関に情報を開示するかを選べるといいます。

■「落としたら…」と不安も…プライバシー性の高い個人情報は記録されず フリーダイヤルで「一時利用停止」も可能
気になるのは、個人情報がちゃんと守られるのかというところだと思います。

政府によるとマイナンバーカードに付いている「ICチップ」には、プライバシー性の高い個人情報は記録されていないそうです。そのため、カードを落としてしまったという場合でも、カードから直接、保険証やお薬のデータが漏れることはありません。万が一、紛失した場合も24時間365日受け付けているフリーダイヤルがあり、ここで「一時利用停止」ができるそうです。運転免許証やキャッシュカードを持ち歩く感覚とそれほど変わらなくていいのではないかということです。

■「マイナ保険証」を使える病院や薬局は31% あと半年で全ての医療機関に導入できるか
ただ課題もあり、マイナ保険証を使える病院や薬局は、まだまだ少ないということです。「マイナ受付」のマークがマイナ保険証を利用できる目印ですが、厚生労働省によると、使える医療機関は、12日時点で全体の31%、約7万施設にとどまっています。実は、来年4月に医療機関での導入が原則義務化されますが、あと半年で全ての医療機関で使えるようになるかは未知数です。

河野デジタル相も「便利だから取る(取得する)というのが基本だ」と話しています。すでに「ワクチン接種証明アプリ」として活用されており、今後「運転免許証との一体化」も進められるといいます。また、「マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載」、つまり、カードを持ち歩かなくてもスマホで全部OKという仕組みを、今年度中に進めていくということです。

   ◇

様々な機能が1枚のカードに集約されるのは便利な半面、情報管理の面で不安をぬぐえない人も多いようです。みんなが使いたいと思えるよう、さらに利便性を上げて、持っていることによるメリットを実感できるよう、より丁寧な説明が求められています。
(2022年10月12日放送「news every.」より)

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