【実態を取材】日韓交流セミナーで日本人女性を勧誘? 韓国新興宗教“新天地”が背後に…
日韓交流と称して開催されていたあるオンライン・セミナーが、途中から宗教の教えにかわっていったといいます。多くの日本人女性が参加していたこのセミナーの実態を取材しました。そこには韓国で問題になっている、ある新興宗教団体の存在がありました。
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日韓交流のオンラインセミナーに参加する多くの日本人女性たち。しかし、その内容は次第に宗教的なものに…
セミナー講師
「本当に日本は特別に神様に愛された国じゃないかなと思います」
このセミナーを主催したのは、ある宗教団体の関係者です。
Q.何の宗教なんですか?
セミナー講師
「これは宗教ではなくて、本当に日韓関係を交流するためのセミナーです」
韓国の宗教団体がその名前を明かさず、日本人への勧誘を活発化させるワケとは…
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今年8月、ソウルに駐在する記者にある情報が寄せられました。内容は、「日韓の交流セミナーにオンラインで参加したところ、宗教的なものだった」というものです。一体、どんな団体が何の目的で行っているのか、実際に参加した日本人女性から話を聞くことができました。
関東に住むミクさんは今年4月、韓国人と交流するアプリを通して、「花より日韓」という団体が主催する日韓交流セミナーに参加しました。
セミナー参加者 ミクさん
「初回、3~4回くらいは文化や言葉を教えてくれたんですけど、いきなり聖書の話になって、そこからはずっと聖書ですね」
宗教の話が出たことで不審に思い、やめようとしましたが、執拗なひきとめもあったといいます。
セミナー参加者 ミクさん
「1回でも(参加が)欠けると、本当に、もう毎日のように(催促の)LINEが来るので…。辞めようと思ったのは、もう強制感がすごい」
同じくこのセミナーに参加したモリさんは、セミナーの動画を記録していました。参加者は100人以上いて、その多くは日本人の女性だったといいます。中心的な講師は「花」と名乗る韓国人です。
セミナー講師 花
「この世の中は誰が支配しているんですか?」
参加者
「竜、悪魔」
セミナー講師 花
「その通りですね。竜、悪魔が全世界を支配して、人間は生まれたら死に向かっていますね」
モリさんは仲良くなった別の参加者を気遣い、40回ほど参加。しかし、途中で別の参加者が“ある新興宗教団体”との関わりを指摘し、講師が激高するのを見て、疑念を深めたといいます。
セミナー参加者 モリさん
「(参加者の)どなたかが“新天地”というのに気づいて…」
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“新天地(しんてんち)”。その正式名称は、「新天地イエス教証しの幕屋聖殿(あかしのまくやせいでん)」という韓国の新興宗教団体です。拠点はソウルから車で1時間半あまりの京畿道(キョンギドウ)・加平(カピョン)にあります。
記者
「あちらですね。湖のほとりに建っている大きな白い建物が、“新天地”の教祖が住むとされる施設です」
“新天地”の教祖は、李萬煕(イ・マンヒ)総裁、91歳。今年8月、韓国の最高裁で教団の資金5億円あまりを横領した罪で執行猶予付きの有罪判決が確定しています。また、“新天地”は別の民事訴訟の判決でも所属と身分を隠して布教をする行為について、「社会的・倫理的に非難を受ける行為」だと不法性が認定されています。
日本人女性を集めたあのセミナーは“新天地”によるものなのか。内情に詳しい人物のもとに向かいました。
キリスト教の牧師、申鉉郁(シン・ヒョンウク)さん。実は、2006年まで“新天地”の中で教育を統括する立場だった元幹部です。教団内のスキャンダルを知り、嫌気がさして脱退。今は、新興宗教から抜け出した元信者の相談や、教育プログラムを行っています。
申牧師に、多くの日本人女性らが参加していたセミナーの動画を見てもらいました。
“新天地”元幹部 申鉉郁さん
「“新天地”の李萬煕教祖はこのてんびんが好きなので、てんびんに例えて説教します。そう、典型的な“新天地”の教えです」
申牧師は“新天地”が使う独特の言葉や解釈などから、すぐにセミナーが“新天地”のものだと断定しました。牧師は、セミナーでいわゆる“統一教会”を頻繁に取り上げ、批判していることにも注目しました。
“新天地”元幹部 申鉉郁さん
「あらかじめ先手を打つように、“統一教会”や他の“異端宗教”を批判しながら、『私たちは“統一教会”のような“異端宗教”ではありません』と安心させる。韓国語を学びたい人も多いし、そんなことを利用して近づくのです」
娘が8年間“新天地”に入信し、最近、抜け出したばかりという親子が、申牧師のもとを訪れました。
“新天地”元信者
「路上で勧誘されて入りました」
信者獲得のノルマに追い詰められていったといいます。
父親・娘が元信者
「誘惑して信じ込ませて、1人の人間に忠誠を尽くすようにさせるのは正常な宗教ではないです」
“新天地”の実態について申牧師は…
“新天地”元幹部 申鉉郁さん
「“新天地”は“異端宗教”であり、“カルト集団”に近いです。特に最も大きい問題は家庭の崩壊や破壊です」
献金を強要するなどのトラブルはほとんどないものの、のめり込んだ学生が大学をやめたり、夫婦が離婚したりして、家庭が崩壊するケースが後を絶たないといいます。
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“新天地”が関わっているとみられる、多くの日本人女性が参加したセミナー。参加者から得た情報をもとに、主催者の「花」を名乗る人物を追うと、名古屋にあるNPO法人に関わりがあることが分かりました。
接触を試みるため、名古屋へ向かいました。場所は、名古屋市内の住宅地です。
記者
「それか。あの白い軽自動車が止まっているところですね」
しばらくして建物から出てきたのは、セミナーで講師をしていたあの「花」本人でした。
Q.「花より日韓」というセミナーのことを調べています
「テレビ(カメラ)付けているんですか?!」
Q.このセミナーは“新天地”ではないのですか?
「それとまた違います!」
Q.何の宗教なんですか?
「これは宗教ではなくて、本当に日韓関係を交流するためのセミナーです」
Q.“新天地”とは関係ないんですか?
「私は“新天地人”ではあるんですけれど、セミナー自体は“新天地”とは関係ないんです」
講師の「花」は、自らが“新天地”の信者であることは認めました。さらに…
Q.あれはどういう意図でやられているのですか?信者を増やそうと思っているのではないですか?
「信者を増やしたいということもあるんですけど、その方法ではなくて、日韓交流を通して仲良くしたい」
信者を増やしたいという思いがあることも認めました。では、なぜ宗教団体と名乗らずにセミナーを開いているのでしょうか?
Q.どういう団体なのか全く名乗らずにやると、誤解している人がいる
「いや、そんなことはないんです!賛成して集まってきた人たちなので、私たちは嘘をついたり、だましたりということはないんです」
Q.“新天地”だと説明していますか?
「“新天地”と言うことはないです。けれど『花より日韓』を通じて楽しく付き合っていて…」
主な目的は日韓交流で、だますつもりはなかったと主張し続けました。
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なぜ“新天地”は、日本など国外で布教活動を行っているのか。実際に国外の“新天地”信者を獲得する活動を行っていた元信者に話を聞くことができました。
国外の信者獲得に従事した“新天地”元信者
「私は特伝隊(特別伝道隊)といって、海外にいる人々を伝道する役割をしました。国外にいる人は、韓国よりは比較的“新天地”についてよく知らず、伝道の手口も分からないため、警戒心が少ないので」
韓国国内では名前が知れ渡り、新たな信者獲得が困難になる中、国外での勢力拡大を図っているといいます。
日本人らを勧誘する際には、K-POPなどを入り口にして近づくこともあるといいます。
セミナー参加者 アヤさん
「BTSとかK-POPを利用して近づいていくというのが、すごく悪質だなと」
巧妙化する新興宗教の勧誘手口。自らの意思に関わらず、身近なところから入り込んでしまうリスクを、一人一人が認識する必要がありそうです。
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(2022年10月10日放送「news every.」より)
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