医療ひっ迫、旅行キャンセル…“感染拡大”各所で深刻な影響(2022年7月25日)
感染拡大が続くなか、医療機関では、コロナ以外の治療にも深刻な影響が出ています。都内では脳卒中で搬送された患者が2時間も受け入れ先が見つからない事態に。医療現場では一刻を争う状況が続いています。
暑さがぶり返した東京。インフラにも、徐々に影響が及んでいます。
感染拡大により、乗務員の確保が困難になった小田急バス。夏休みを踏まえ、学生が多い路線を中心に減便を余儀なくされました。
JR九州も特急が120本運休すると発表しました。
影響は、政界にも及んでいます。
磯崎官房副長官：「（松野官房長官は）現在は自宅で療養中ということで症状は軽快をしていると」
土曜に陽性が判明した松野官房長官。現在自宅療養中です。
自宅療養者は全国で過去最多の60万人を超えています。
“頼みの綱”の病院も“綱渡り”が続きます。
大森赤十字病院・中瀬浩史院長：「実は先週のところで一般の救急を少し制限しています」
実際、深刻なケースがあったばかりです。
東京・大田区にある病院によりますと、脳卒中の患者がおよそ2時間搬送先が見つからずに運ばれてきた事例があったということです。
大田区の病院。脳卒中で運ばれた高齢者。一刻を争う状態でした。
大森赤十字病院・中瀬浩史院長：「脳卒中の場合はいまブレインアタックといって時間との勝負。そこで2時間は大きなタイムロスだったんだろうなと思っております」
病院も延期せざるを得ない事情を抱えていました。
大森赤十字病院・中瀬浩史院長：「（Q.手術延期になっている声あるが？）これだけ職員が感染していれば当然そういうことが起きている。今いる患者さんがリハビリテーション等を含めてもっと環境の良いところにお願いしようと思っていても、病院間での連携機能がほとんど停止している状況です」
こちらの病院では、39人の職員が感染していました。
“自主的な行動制限”をお願いするしか、すべはありません。
大森赤十字病院・中瀬浩史院長：「今までの治療がそのまま受けられる状況には必ずしもなっていない。特に高齢の方々は大きなイベントを無理して今の時期なさらないように慎重に行動して頂きたい。毎日毎日調整をする“綱渡り”が続いていることをご理解頂きたい」
他の病院でも“しわ寄せ”がいくケースはあります。
妻の子宮全摘出手術が延期になった男性（沖縄県）：「手術の優先順位は上位にあるが、コロナが落ち着かない限り、一般の手術はしないと聞かされた」
大腸ポリープの手術が延期になった女性（熊本県）：「入院する部屋を用意できないので、延期にしてほしいと言われた。延期が2カ月先というのもあまりに遠くてびっくりした」
“自主的に”行動制限する人もいます。
愛知県・大村秀章知事：「現段階では飲食店の営業時間短縮。県をまたぐ移動の自粛を要請するまでには至っていないと思っているが、一人ひとりで感染防止対策の徹底をお願いしたい」
24日、日曜としては過去最多の感染者数となった愛知県。旅行をキャンセルする人も少なくありません。
トラベルパレット・櫻井憲子代表：「例えば孫とテーマパークに行こうとか一斉に見合わせた」
大阪府にある保健所も、事態は逼迫（ひっぱく）してきました。
保健所の担当者：「とても追いつかない状況です。望まれるようにできないのは苦しい」
府は現在、行動制限は考えていないとしていますが、こちらは制限されています。
病床使用率は24日時点で47％となっています。
大阪府・吉村洋文知事：「（病床使用率）50％に達すれば、本部会議を開いて専門家の意見も聞いて対応策を決定する」
医療現場は、切実に“行動制限”を望んでいます。
近畿大学病院・東田有智病院長：「子どもがコロナ陽性で（スタッフが）濃厚接触者扱いで、毎日何人か休んでいる状況。どこの病院もそうでしょう。スタッフの確保、これが一番大変」
重症者を診る大阪・近畿大学病院。12床あるうちの7床が埋まっています。
こちらの病院では、先月職員・患者35人のクラスターが発生。ぎりぎりの状態が続く医療スタッフは、行動制限を求めています。
近畿大学病院・東田有智病院長：「1～3波のころは圧倒的にみなさん行動制限をし、怖がっていた。行動制限をかけないで患者が増えてもいいのか。医者側からすれば行動制限してほしい。これだけ増えていれば当然。集団免疫になるにはまだ少し、もう1波、2波が必要だと思う。（国に）今後どうしていくのか方向性を示してほしい」
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
