【藤田アナ鉄道NEWS】東武新型特急「スペーシアX」 会見場で藤田アナも独自取材
東武鉄道は15日、東京・浅草と栃木県の日光・鬼怒川エリアを結ぶ新型特急車両N100系の愛称を「スペーシアX」と発表しました。この会見場で「日テレ鉄道NEWS」の藤田大介アナウンサーが独自視点で取材。東武鉄道幹部への独占取材や、車内販売をプロデュースするクラフトビール会社専務や珈琲会社代表のインタビューなど、ニュースでは伝えきれなかった部分も含め、「日テレ鉄道NEWS」ならではの視点で会見場での熱気をそのままにお伝えします。
■愛称は「スペーシアX」に決定
藤田大介アナウンサー
「今、発表されました。新しい特急の名前は『スペーシアX』です」
東武鉄道は15日、東京と栃木県の日光・鬼怒川エリアを結ぶ新型特急車両の愛称を「スペーシアX」と発表しました。
特急スペーシアは1990年100系スペーシアとしてデビュー。民鉄では初のコンパートメントルームを設置、東京スカイツリーにあわせたカラーリングに変えるなど、東武鉄道のフラッグシップ車両として活躍してきました。
2017年には日光線に500系「リバティ」が誕生。3両固定編成を併結・分割する特長を生かし、「リバティけごん」としてスペーシアと共に東武日光駅に乗り入れています。
■東武鉄道・営業統括部長「環境に配慮した新型特急の先駆けとなりたい」
特急スペーシアの後継の新型車両として、33年ぶりの導入が予定されている「フラッグシップ車両」。私も記者会見場にお邪魔し、ちょうどデビュー1年前にあたる7月15日、東武鉄道鉄道事業本部・池田営業統括部長に直接、話を聞きました。
――特急スペーシアX、おめでとうございます。発表記者会見を終えてどのような思い?
東武鉄道 鉄道事業本部 池田直人営業統括部長
「3年前ほどから準備を始めてきましたけれども、この日を迎えられて非常にうれしい思いと、いよいよあと1年になったな、と引き締まる思いです」
――「スペーシアX」にかける思い?
「例えばこの後、インバウンドが回復した時に、富士山と日本海とを結ぶゴールデンルートの様に、ぜひお客さまにもこのスカイツリーと日光とを結ぶ『スペーシアX』を選んでいただけるような、1つの定番商品になってくれることを期待しています。これから環境配慮というものが、非常に会社の経営には重要なポイントを占めてきます。その中で、今回は『CO2削減』とか『消費電力』など、(スペーシアXは)4割ほど削減になっています。来年以降、新型特急などをつくっている会社さんは今のところないので、ある意味、うちが(環境配慮型の)先駆けとなっていきたいと考えています」
――降りた先でも環境配慮、日光MaaSについても考えていますね?
「すでに『国際エコリゾート日光』ということで、例えば(電車を)降りた後、レンタカーを使ってみるなど、いろいろとやっています。その中に『ラムサール条約』だとか、すでにある環境とこれから直していく環境とを組み合わせて、最高のリゾートにしていかれればと思っています」
■池田統括部長「お子さまたちが手を振ってくれるような車両に」
『スペーシアX』のお気に入りポイントについて、池田営業統括部長に聞いてみました。
東武鉄道 鉄道事業本部 池田直人営業統括部長
「“見てくれ”という意味では、窓枠は鹿沼組子をモチーフにしていますが、鹿沼の町の中には日光の宮大工さんが昔、住んでいた杉の産地であるのと同時に、手彫りの彫刻の文化がすごくあります。ユネスコ世界文化遺産に選ばれているような『屋台行事』というのがありますので、ぜひイメージしてもらいたいと思います。」
「個人的な思いとしては、すでにスペーシアが走っていきますと小さなお子さまが『あっ、スペーシアだ!』と手を振っていただいています。次の『スペーシアX』も、ぜひお子さまが『あっ、スペーシアXだ!』と手を振ってくれるような、そんな車両になってくれるとうれしいなと思います」
■藤田の注目1 「車外表示器」は関東初上陸
藤田アナ
「こちらは車外表示器です」
私が注目したのはいわゆる行先表示器。2014年ごろから、従来の特急スペーシアにはフルカラーLEDが使われてきましたが、今回、導入予定なのは…まるでテレビモニターのような大きな液晶ディスプレーが、車両の側面に取り付けられるということです。LCD(Liquid Crystal Display)表示器といわれ、大きなガラス一体型になっています。東武鉄道によると「停車駅や、多彩なシートバリエーションの案内など、きめ細かく情報が伝えられるようにした」「車外表示器としては、関東の鉄道会社では初めての試みで、製造会社と研究を重ねている」ということです。
■藤田の注目2 「見たことない!」自由に動かせる?!シート
多くの光や緑を車内でも味わい尽くせる、開放的な『スペーシアX』。シートも「スタンダードシート」「ボックスシート」「プレミアムシート」…さらに!
田中耕平記者
「こちら最上級のシートには、ゆったりとすごせる3人掛けのソファが配置されています」
新型車両、浅草側の1両にはプライベートジェットをイメージしてデザインされた「コックピットスイート」を併設。最大定員7人で利用する事ができます。驚きなのが、椅子は固定されておらず、自由にレイアウトし直せるという点。それぞれの旅行スタイルに合わせ、日光までの優雅なひと時を自分たち好みで楽しんでもらいたいと考えているということです。
“動くリビング”のようなこの空間、スタンダードシート特急料金に加え、1室1万2180円で利用できます。(2022年発表時点)
■藤田の注目3 ボックスシートはまるで動く書斎!
次に注目したのが、ボックスシート。
藤田アナ
「座っていると、ここに壁のようなものがあるんですけれども、通路がこちら(壁側)なんですね。通路を歩いてくるときに、自分のプライベートスペースが他の人からあまり見えないという良さがありますね」
更に、ひじ掛け下にはコンセントがあり、旅行だけでなく移動空間を利用したリモートワークスペースとしても活用できそうです。
■ドラフトタワーで提供されるクラフトビール
日光寄りの先頭車両には、カフェカウンターを設置。ビールやコーヒーなどを、開放的なコックピットラウンジでも楽しめます。4本のドラフトタワーで提供されるクラフトビール、提供するクラフトビール会社に話を聞きました。
――「スペーシアX」内でビール販売されることになり感想は?
Nikko Brewing 鶴巻康文専務取締役
「驚いています。新型特急という大きなプロジェクトに私たちを加えてもらえたことは大変光栄ですし、その中で、奥日光の魅力を私たちの商品を通して発信できるということは、すごくうれしく感じています」
――ビールの種類はどのようのものがありますか?
「ラガースタイルで、スタンダードなものから、フレーバーを加えたもの、そして季節限定のもの、幅広い世代の層の方たちが、いつでも旬の味を楽しめるそういった幅広いものをつくっていきたいと考えています。例えば、冬であれば『いちご』ですとか、夏になれば『山椒』といったフレーバー、また日光ですので、『日光杉』を加えたものなんかもつくっていこうと考えています」
「私たちは栃木らしさや・日光らしさを軸に、地元の生産者さまとのコラボレーションもあるかもしれません。そういった思いも感じてもらえれば幸いです」
■『日光珈琲』代表は大の鉄道ファン「生きててよかった!」
そして日光のクラフトコーヒーも。
――車内でのコーヒーの提供、どのような思いがありますか?
日光珈琲 風間 教司代表取締役
「私自身、子供の時から鉄道が大好きで、東武沿線で生まれ育ったものですから…子供の時からデラックスロマンスカーや、(当時)新しく出たスペーシアであるとか、沿線ではずっと写真を撮り続けていた思い出がありまして、今回、本当にありがたい機会ですし、逆に失敗できないなという」
――では、『スペーシアX』の中で自身のコーヒーが振る舞われるということは。
「もう、もう…あの、僕、今まで生まれてきて、生きててよかったなと、そんな思いでございます」
「今日はリバティで来ました。昔の『デラックスロマンスカー』のジュークボックスがあったと思うんですが、子供の時にあそこにお金を入れて音楽が鳴っているとかって、すごくワクワクするような…そんな東武さんとのお付き合いなので、今回は本当に気合を入れて、ご期待にそえられるように頑張っていきたいと思っています」
――どのようなコンセプトでオリジナル焙煎(ばいせん)をつくられますか?
「その時その空間を、お客さまそれぞれが楽しめるようなテーマで、何種類かのブレンドを今、開発しているところです。よろしくお願いします」
【藤田アナの編集後記】
気になる疑問点を現地で東武鉄道担当者に直接、聞いてきました。取材メモをご紹介します。
●「N100系」という形式名称について記者会見でも質問が出たのですが、従来のスペーシアが100系。そこに新しいスペーシアをつくろうと社内で話をしている中で、NEW100系からN100系となり、開発段階から親しまれていた事で定着したということです。
●プレミアム感のある車両は、これまで1編成しかつくらない会社が多い中、なぜ4編成もつくり、入れるのか? あくまで現行のスペーシアの後継で、現行のスペーシア車両に代わるものにしたい、とのことでした。ただ9本すべての置き換えとは考えておらず、現在の計画では来年7月に2編成、再来年に、もう2編成を置き換える予定だということです。
●カフェカウンター設置について近年、廃止や減少傾向が続き、寂しさを感じますが、東武鉄道によれば「五感を刺激する商品との出会いを、価値ある場所で提供するため、あえてカウンターを設けた」ということでした。これまでは全国の鉄道会社を見ても、その利便性から中間車両に設置され窓が少なかったイメージでしたが、今回は日光寄り先頭車両に配置。光が差し込まれる中、1つの目玉としてアペタイザーやスイーツなども提供し、地元ならではの「食」の楽しみ方を提供するということです。なお、どのように購入するのかや注文できるのかなどについては、これからしっかり考えていくということでした。
●ちなみにクラフトビールについても、同じフレーバーでもコクや香りなど、さまざまなバリエーションが記者発表の会場でも並べられていて、旅行先に向かう列車の中で楽しむ味、または東京への帰りに浸りたい味など、専門チームが意見を聞きながら目下試作を重ねていくという状況でした。
◇
新しい特急デビューまで、ちょうどあと1年。移動手段だけでなく、個々のライフスタイルに合わせた環境で、地域の人々と鉄道会社との連携で、新しい観光地づくりを模索している姿を目の当たりにしました。『スペーシアX』は2023年7月15日デビューです。
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