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【解説】元信者が語る“脱会の難しさ” “統一教会”と安倍元首相の祖父・岸信介氏の関係は?
安倍元首相が銃撃され死亡した事件で、逮捕された男の母親がいわゆる“統一教会”に約1億円の献金をしたことが明らかになりました。元信者が「頭でやめても心でやめるのは難しい」と脱会の難しさを証言しました。安倍元首相の祖父・岸信介氏と“統一教会”の関係について、弁護士が指摘しました。
「1億円の献金か」、「勧誘の方法」、「岸元首相との関係は?」、以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■母親の献金は約1億円か 教団側「5000万円は返金」
山上徹也容疑者は、母親が「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”に多額の献金をする中、「祖父の持っていた土地を勝手に売り払い、団体につぎ込んだ」と供述しているということです。
登記簿などによると、確かに母親は宅地を売却し、その後、破産しています。捜査関係者によると、母親が献金した額は約1億円にのぼるとみられています。
一方で、教団側は13日夜、文書を発表し、「山上容疑者の母親が教団に献金した正確な金額にはたどり着けていないが、2005年からの10年間で5000万円が返金された」と主張し、信者の代表と母親らの間で返金の合意がなされたものの、経緯は不明だとしています。
■弁護士ら「正体隠しの勧誘は続いている」 教団側は否定
信者は、どのように入信するのでしょうか。
教団のトラブルなどに対応してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会は、「勧誘から入信に至るまでは、非常にシステム化された巧妙な手口だ」と指摘しました。
まず、駅前などで歩行者に「生活アンケート」への回答を求めたり、「手相を見る」などと声をかけたりして、全国各地に設置された「ビデオセンター」という教育施設に勧誘者を連れて行くといいます。声かけの時点では「ビデオセンターは様々なイベントやスポーツを楽しむ所」などとウソをついて、宗教であることは一切隠して誘い込むのだそうです。
その後、ビデオセンターでも教団だと悟られないように「教養・娯楽ビデオ」などを見せ、学習意欲をかきたてて、次のステップへと進ませるということです。
郊外で2日間の泊まり込みの研修会を行い、その後、平日の夜に2時間程度の講義が行われ、ここで初めて、これまでのビデオ講義やセミナーの主催者がいわゆる“統一教会”であり、教祖が文鮮明(ムン・ソンミョン)氏であることが明かされます。
次に、4日間の泊まり込みで行われる研修会では「献身の誓い」をさせられ、人生を文鮮明氏にささげることを誓わされます。
そして、集団生活をしながら、約1か月間の研修を受けます。さらに引き続き、約1か月から3か月間の長期研修を行い、それまでの生活との断絶を図るということです。
この研修の最後に出家させ、家族にも告白するよう指示し、家族と断絶させるということです。
日本テレビの取材に対して、教団側は「今は、身分を伏せた伝道(勧誘)はなくなった」と主張しました。一方、弁護士らは「教団による“正体隠しの勧誘”は、現在もなお続いている」と食い違いも生じています。
■「教団にいたころの方が良かった」元信者が語る“脱会の難しさ”
自らも元信者だったジャーナリストの多田文明氏によると、脱会は簡単なことではないということです。教団側は「脱会したら病気になる」、「事故にあう」などと脅しをかけているということです。
さらに、本人にも「フラッシュバック」が起きる場合もあります。教団側はバレーボール大会、バーベキューなど、あえて楽しい思い出をあえて作り、信者同士の仲間意識も非常に強固ということです。
脱会後、日常生活や仕事などでつらいことがあると、「教団にいたころの方が良かった」などと思い、教団に戻る人も多いということです。頭でやめても、心でやめるのは難しいようです。
■“統一教会”との関わりは? 岸信介氏と文鮮明氏が握手した写真も…
教団に対して強い恨みを抱いていたという山上容疑者は、なぜ安倍元首相への殺意に変わっていったのでしょうか。
山上容疑者は「岸信介元首相が団体に関係があると思い、孫の安倍元首相も関係があると思った」と供述しているということです。岸元首相は、安倍元首相の祖父にあたる人物です。
教団のトラブルなどに対応してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会は、12日に開いた会見で、岸元首相と教団の関係について触れました。山口広弁護士は、岸元首相と教団の創立者で教祖だった文鮮明氏が握手している写真を見せながら、次のように指摘しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口広弁護士(12日)
「岸信介さんと握手している写真が、いかに“統一教会”が世界的に広く認知されているかということを認めさせるために、こういう写真が繰り返し信者の皆さんに見せられて、『すごいんだ』、『地上天国はもう一歩だ』との説明に使われるという事実があるわけです」
山口弁護士は「文氏と岸元首相が握手する写真の存在が、教団の活動を日本に浸透させる上で、大いに手助けになった」と指摘しました。
一方、教団側によると、岸元首相の自宅の隣に、たまたま教団が借りた教会があったということです。教団側は「岸元首相が、若い信者の姿に『よくやっている』と共感し、話をしてみたいというところからの付き合いだ」と主張しました。さらに、「教団による平和活動の理想に共鳴して、文鮮明氏の講演会にも参加するようになった」と説明しました。
◇
ここまで教団の実態を見てきましたが、山上容疑者と教団の間でどのようなことがあったのか、少しでも山上容疑者の動機の解明が進むことを期待したいと思います。
(2022年7月14日放送「news every.」より)
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