全国先駆け『BA.5』に置き換わる島根…急増の背景は?県の感染症対策室長に聞く(2022年7月7日)
新型コロナの新規感染者が急増しています。全国に先駆けて『BA.5』への置き換わりが進んでいる島根県の現状について、最前線で対策に当たっている県の感染症対策室長・田原研司さんに聞きます。
県の遺伝子解析では、5月から6月にかけ、BA.5が拡大。6月に入って、37.8%まで増えました。さらに、最新の数字では76.8%が置き換わっています。東京都は疑い例で33.4%。島根はその倍以上です。その影響もあってか、6月半ばから感染者数が急増しました。年代別で見ると、18歳以下が最も多くなっています。高齢者も増加傾向にあります。
(Q.若年層が急増しているということですが、現場の実感としてはどうでしょうか)
6月中旬からの感染拡大は、これまでに経験のない大きな波と受け止めています。20代、30代が先に感染し、その2、3日、遅れて、18歳以下が急に感染拡大を示しました。恐らく家庭内感染とみられます。いまでは、子どもたちが学校や保育所で感染を拡大させて、18歳以下が最も多くなっています。ただ、今回の大きな感染拡大の特徴ですが、感染者の数はまだ少ないですが、第6波のBA.1、BA.2のときにみられなかった50~64歳、65歳以上に感染が拡大する傾向がみられています。
(Q.患者の症状に以前と違いはありますか)
BA.5では、有症状者は多く、発熱するケースもみられますが、総じて軽症例が多い傾向にあります。
(Q.軽症例が多くても高齢者は心配ですよね)
島根県では感染急拡大のなか、65歳以上の高齢者の感染が増加傾向にあります。現在、35.8%の病床を使っていますが、そのうち85%は高齢者です。今後、感染者が増えてくれば、高齢者のリスクが高くなりますので、対応・対策、いわゆる医療のひっ迫が、懸念される材料だと考えています。
(Q.保健所業務のひっ迫具合はどうでしょうか)
現在、県東部で流行しています。出雲保健所、松江保健所では業務がひっ迫し、調査が遅延している状況です。遅延を解消するために、県庁では対策本部を設置し、50人規模で、保健所が行う疫学調査を行っています。今後は、倍増、100人規模で実施していく予定です。
(Q.BA.5への置き換わりが島根県で顕著な理由をどう考えますか)
島根県の保健所の積極的疫学調査のあり方ですが、濃厚接触者の特定はすべて行っています。また、濃厚接触者に限らず、接触者については幅広く検査し、封じ込めを行っています。さらに、陽性者の検体を使って、遺伝子解析、スクリーニングを多く行っています。その結果、現在のBA.5がリアルタイムでスクリーニングできていますので、現在、感染者の大多数がBA.5だということがわかりました。
(Q.今後の対策をどう考えますか)
県民に基本的感染対策の徹底を呼び掛けていきます。特に3密の回避。この時期は暑いので、熱中症対策を最優先に考えていただき、可能な限りマスクの着用を促していきたいと思います。飲食店の利用に対し、人数、時間の制限をお願いしています。飲食による感染リスクを低減したうえで、飲食の利用を進めていきたいと考えています。
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