知床観光船の元従業員 社長は「海のこと知らない」・・・漁師も危機感「判断能力が素人」(2022年4月26日)

知床観光船の元従業員 社長は「海のこと知らない」・・・漁師も危機感「判断能力が素人」(2022年4月26日)

知床観光船の元従業員 社長は「海のこと知らない」・・・漁師も危機感「判断能力が素人」(2022年4月26日)

 北海道知床半島沖の観光船の事故で、かつて運航会社に勤務していた男性が、会社の実情を明かしました。

■元船員「社長は海のこと知らない」

 運行会社の元従業員:「(船長に)『気を付けろよ』って。初めて出るからさ。船の所に行って、運転席の所に行って、『波があるから気を付けろよ』って」

 去年3月、運航会社を解雇された元従業員の男性。事故を起こした「KAZU 1」が港を出る直前、船長と話したといいます。

 運行会社の元従業員:「『午後から悪くなるから』って。急に変わるんだ。行きは何ともないけど、帰りは怖いんだ」

 2、3年前に会社を買い取った社長は、ベテランの船長や甲板員を次々に解雇。この男性も、その一人です。

 残ったのが、1年ほど前に入社し、今回、事故を起こした埼玉県出身の船長だったといいます。

 運行会社の元従業員:「(Q.社長が(船長の)キャリアがなくても、船を出させた?)車のように、免許があれば乗れると(社長は)思っている。海のことを知らないから。去年2回事故があって、今年はないだろうと思ったら、いきなりこんなことになった」

 会社は、船のメンテナンスにかかる維持費を出し惜しむなど、資金繰りにも苦労していたといいます。

 運行会社の元従業員:「(船の維持に)金をかけなくなった。専門業者が来たら、高くなるからって。だから、自分たちで、たいがいのことはやっていた。コロナで銀行の返済に待ったが掛かるようになったし、金を多く借りるようになったとも言っていた」「(Q.自分たちが残っていれば?)残っていたら、こんな事故は起きない。100%起こらない」

■地元の漁師 社長の方針に“危機感”

 2018年に撮影された「KAZU 1」の映像では、当時はまだ、ベテランの船長や甲板員が3人態勢で運航していました。

 同じ会社の別の観光船に乗った男性によると、その前日は波が荒く、欠航になったといいます。

 2018年「KAZU 3」に乗船した男性:「『きのうみたいに波が高いと、船が出せないんですよ』と言われた。船長が親切に、子どもたちに魚群ソナーを見せてくれて、『ここが深くて、ここは浅い』『結構、運転が難しいんだよ』と説明してもらいました」

 地元の漁師は、運航会社の社長の方針に、常々、危機感を持っていたと話します。

 地元の漁師:「(社長に)海の知識はない。知っているので、海に携わった人ではないと。色々手広く、民宿業をやったり。ただ、民宿業はプロだと思うけど、海に関してはどうかな。去年も、むちゃするなあって日に、運航してたし。事故がなきゃいいなあって・・・。たまたま、事故にならなかっただけじゃないかと、去年1年見ていて思った。船長さんも、すべて社長の指示でしょうね。判断能力が素人すぎるなって。一言で言うと」

 海を知らない社長が、まだ、知床の海の経験が浅い船長に、無理に出航させていたというのです。

■3人の身元判明・・・“残る15人”行方分からず

 25日も、自衛隊から航空機と艦船が参加して、大規模な捜索が行われました。

 世界遺産の知床で起きた、観光船の事故。乗員24人、船員2人の合わせて26人のうち、これまでに11人の死亡が確認されました。

 このうち、家族の面会などで、3人の身元が分かりました。香川県丸亀市の河口洋介さん(40)、千葉県松戸市のぬで島優さん(34)、東京・葛飾区の加藤七菜子ちゃん(3)です。

 10人は、救助要請された場所とされる、カシュニの滝から14キロほど北の知床岬の近くで発見されました。3歳の加藤奈々子ちゃんは、知床岬灯台から東に14.5キロ離れた海上でした。

 斜里町・北雅裕副町長:「(Q.ご両親は見つかっていない?)いないです。かなり遠い場所だったので。一緒に見つかれば、良かったんですけども」

 残る15人の行方は、依然として分かっていません。

■家族への説明会で憤り・・・社長“足組み”

 若いカップルも行方不明のままです。

 行方不明の鈴木智也さんの父親:「彼女にも黙って、サプライズで、誕生日祝いをしてやろうと。クルーズ船に乗せるということを考えて、今回の事故に遭った。(彼女は)23日、誕生日だったんです。『おめでとう』って言ったきり、『これから乗るんだ』っていう動画を最後に、連絡が取れない」「なんとか早く見つけて、帰してほしい。ほんと、きょうで3日目なんですよ。沈んだものも、なかなか返ってこないし、きのうも見たけど、いなかったっていうつらさですよね。10体、揚がったって(安置所で)確認してきたけど、全部、息子ではなかったので。一日も早く捜索して見つけて、暖かいふとんを掛けてあげたい。それだけ、ほんとに悔しい」

 近畿地方に住んでいる男性も、家族と連絡が取れていません。

 家族が乗船していた男性:「行政の方から連絡がきました。その後、会社の方から説明とかは一切ないです」「(Q.会社から連絡がない?)会社から連絡がないですね。社長からの謝罪はないですね。会社からの対応は、あまり良いものは感じなかったので。そこは、しっかりしてほしい」

 運航会社のある斜里町に駆け付けた家族には25日、役場や捜索隊などによる説明会が3回開かれました。

 しかし、運航会社の社長は、朝の1回出席したのみ。しかも、足を組むなど、神経を逆なでするような態度だったと、家族は憤りを隠せないでいます。

 予定されていた会社の記者会見も、開かれませんでした。25日夜、社長の自宅を訪ねました。
 
 取材を進めると、社長は、自身が経営するホテルの中に、今なおいるとみられることが分かりました。ただ、事故から2日以上経った今も、明確な説明はないままです。

※「ぬで」は「木へん」に「勝」勝は上の点が「八」

(「グッド!モーニング」2022年4月26日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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