【解説】侵攻後”初”記者会見 プーチン氏「目標達成は一切疑いない」 ウクライナ情勢

【解説】侵攻後”初”記者会見 プーチン氏「目標達成は一切疑いない」 ウクライナ情勢

【解説】侵攻後”初”記者会見 プーチン氏「目標達成は一切疑いない」 ウクライナ情勢

ロシアによるウクライナ侵攻後、プーチン大統領が初めてとなる記者会見を行い、侵攻については「ほかに選択肢がなかった」などと改めて自らの正当性を主張しました。「ウクライナで“犠牲”拡大」、「プーチン大統領が“初会見”で語ったこと」、「この記者会見で質問した記者の“正体”は?」、「情報機関で150人“追放”」の4つのポイントについて、詳しく解説します。

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■凄惨な被害状況の数々「拷問の証拠を隠滅しようと…」
ウクライナ国内からは、凄惨(せいさん)な被害の状況が伝えられています。

多数の虐殺が報じられた首都キーウ(キエフ)近郊のブチャについて、ロイターは、市長の話として、「これまでにロシアの占領中に殺害されたとみられる403の遺体が発見され、その数は増え続けている」と伝えています。

また、13日時点も激しい戦闘が行われ、陥落が迫っているとされる南東部マリウポリの市長は、「犠牲者は約2万1000人に達している」と話し、「遺体が通りから消えている。彼ら(ロシア)は拷問の証拠を隠滅しようと計画している」とも述べています。

■侵攻後“初”の記者会見 質疑応答も…記者の正体は
そして、同盟国であるベラルーシのルカシェンコ大統領と並んで会見に臨みました。ウクライナ侵攻後初めて、記者の質問にも答える形の記者会見となりました。

プーチン大統領は、「ウクライナで起きていることは、間違いなく悲劇だ。しかし、ロシアには、ほかに選択肢がなかった」「特別作戦の進行は、計画通り」などと述べ、大量虐殺が報じられたブチャについては「フェイクだ」と言い切りました。

この会見は「記者会見」という形をとっており、最初にプーチン大統領とルカシェンコ大統領が発言をし、その後、「質疑応答」になりました。主な質問は4つありましたが、全てロシアとベラルーシのジャーナリストが質問したということです。
■発言のポイントは「三位一体」 専門家に聞く
プーチン大統領の12日の発言について、防衛省防衛研究所の山添博史・主任研究官に聞きました。

山添さんが注目したのが「ロシアとベラルーシとウクライナは『三位一体』つまり、同じ民族、兄弟なのだ」という部分です。一方で、プーチン大統領は「欧米は長い間、ウクライナに極右的な思想を持つ人々、『ネオナチ』の芽を育ててきた」と決めつけ、「ネオナチは、私たちのそばの国で、日常的な事実となったのだ」と言っているわけです。

山添さんは、こうした記者会見の内容を見る限り、プーチン大統領の根本的な認識は改まっていないと指摘しています。プーチン大統領は、「ウクライナ人は兄弟だが、中には極右=ネオナチの愛国者がいて、民族を分断し、ロシアを攻撃しようとしている」とし、そのため「ロシアに反対する人はネオナチだから、全て殺そう」と、自身の歴史観の「ゆがみ」や「こだわり」を繰り返しているといいます。
■“情報機関が約150人追放”英紙報道…プーチン氏の保身?
イギリスのタイムズ紙は、「ロシアの情報機関・FSB(=連邦保安局)に所属する情報員約150人が追放された」と報じました。ウクライナ侵攻前に大統領府に“虚偽の情報”を報告した責任を問われた、というものです。

今回150人もの情報員を一斉に追放した背景について、山添さんは、「プーチン大統領の『怒り』と『保身』が表れている」とし、「侵攻の判断などを間違ったのは、自分ではなく、FSBのダメなヤツらだ」と人のせいにして自分は生き延びる、保身の意味合いもあるということです。

共通しているのは、全員がFSBの「第5局」に所属していたという点です。第5局とは、プーチン大統領がFSB長官だった1998年に設置された部署で、ウクライナなど旧ソ連諸国をロシアの勢力圏にとどめておくための活動が、主な任務です。実は、この部門のトップ、セルゲイ・ベセダ氏が今回、逮捕され、モスクワ市内の刑務所に送られました。タイムズ紙によると、この刑務所は、旧ソ連の独裁者スターリンが1930年代に政治犯の拷問・一斉処刑などを行った場所だということです。

山添さんによると、この刑務所に送り込むというのはプーチン政権では聞いたことがなく、侵攻が難航していることに対するプーチン大統領の怒りの表れで、「ちゃんと仕事しないと最悪の目に遭わせるぞ」というメッセージを見せつけることで、周りを従わせる意味合いがあるということです。

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持論を展開し、自らを正当化することに終始したプーチン大統領。一方で、情報員の大量追放など、恐怖政治によって保身に走るような動きも見られ、徐々に窮地に追い込まれ始めているようにも見えます。こうした状況によって、プーチン氏がさらなる暴挙に走らないことを切に願います。
(2022年4月13日放送「news every.」より)

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