【解説】ロシア軍「撤退ではなく再配置」か 本音は…?

【解説】ロシア軍「撤退ではなく再配置」か 本音は…?

【解説】ロシア軍「撤退ではなく再配置」か 本音は…?

ロシア軍は、軍事活動を縮小するとしていたウクライナの首都キーウでも攻撃を続けていて、「撤退」ではなく「再配置」との見方があります。ただ専門家は、「大義のない戦争はやりたくない」という本音があると指摘します。その3つの理由とは―?

■攻撃なお…首都「激しい戦闘」も?

有働由美子キャスター
「3月31日午前4時現在の、ウクライナの戦況を整理します。激しい戦闘が起きている(南東部)マリウポリは、数日のうちに陥落する可能性が高いとみられています」

「さらに、東部のドンバス地域ではロシア軍が集結。そして、軍事活動を縮小するとしていた首都キーウ周辺では攻撃が続いていて、イギリス国防省は『今後、数日以内に激しい戦闘が起こる可能性が高い』としています」

「NATO(=北大西洋条約機構)も、ロシア軍は『撤退ではなく再配置』だと指摘しました。縮小する気がないということですよね?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「ロシア政治に詳しい、慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『そもそもロシアはキーウを陥落させることを諦めていないのではないか』と話しています」

「また『縮小と言ったのは、いったんベラルーシなどで補給し、戦略を練り直すための時間稼ぎの可能性が高く、言葉通り信じない方が良い』との見方を示しています」

■指揮系統が弱化、指令伝達が不十分?

有働キャスター
「ロシアはまだまだ手を緩めない、攻める気満々であるということでしょうか?」

小栗委員
「ただ、廣瀬教授は『ロシア軍は、そもそも大義のない戦いはやりたくなかったし、なるべく早くやめたいと考えている』と指摘しています。というのも、まず、ロシア軍の将官クラスが7人死亡したと伝えられるなど、指揮系統が弱っていることが挙げられます」

「そして、これまでウクライナ側に戦略が漏れていることが言われていましたが、廣瀬教授によると、内部から情報が漏れることを警戒して、ロシア軍は司令官を置かずに部隊を動かしたり、作戦の指令をわずか数日前に伝えたりする状況に陥っているといいます」

有働キャスター
「そうだとすると、うまく行くはずがないですよね」

■アゼルバイジャンで…新たな動き

小栗委員
「さらに、これまでロシアの軍事力に恐れおののいていた他の国が、『なんだ、ロシアは大したことないじゃないか』と、その影響力を軽く見る動きも出始めています」

「その1つ例が、アゼルバイジャンです。これまでロシアの監視のもとで、隣のアルメニアと停戦していましたが、その境界に再び手を出し始めているといい、廣瀬教授は『ロシアの力をなめて、停戦違反を行った可能性がある』と分析しています」

■プーチン大統領が守るものとは?

有働キャスター
「それでもロシアは軍事侵攻をやめないのでしょうか?」

小栗委員
「厳しい状況にもかかわらず、ですが、廣瀬教授は『プーチン大統領は自分のメンツとプライドが保たれる結果を出さない限り、やめないだろう』と話しています」

有働キャスター
「組織のトップの振る舞い、どう見ますか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「リーダーが自分自身のエゴやメンツを優先してしまう、一番ダメなパターンだと思います」

「そうならないために、側近や第三者の助言を聞いて冷静になることにつながればいいですが、プーチン大統領がそういう環境にないとするならば、本人にとっても国にとっても本当に悲劇だなと思います」

有働キャスター
「そのメンツとプライドで、罪のない人たちの命が奪われ続けるのは耐えられません」
(2022年3月31日放送「news zero」より)

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