不明男性の捜索難航 生存率低下の72時間迫る 土砂崩れに巻き込まれたか…夜間も重機で作業継続へ
23日、奈良県下北山村で発生した土砂崩れで、土砂の中に男性が埋まっている可能性があり、県や消防による捜索活動に向けた作業が続いています。
これは斜面が崩落した直後の様子です。土砂が鉄の柵をへし折って道路を完全にふさぎ、軽自動車を巻き込んでいます。
岡田 修治 カメラマン（24日）
「奈良県下北山村上空です。大規模な土砂崩れによって、山肌が広範囲にわたってむき出しになっています」
23日午後9時ごろ、奈良県下北山村の国道で道路脇ののり面が幅30メートルほどにかけて崩れ落ちました。軽自動車が巻き込まれましたが、この車の中にいた男性は救助され命に別条はないということです。
しかし、巻き込まれたのは、この車だけではない可能性が。1人で三重県方面に向かっていた和歌山県に住む70代の男性と連絡が取れていないということです。
土砂の中からは熱の反応もあり、少なくとも、もう1台、車が埋まっているとみられます。
人命救助が急がれるなか、土砂崩れが起きた部分以外の崖にも亀裂が見つかるなどしていて、作業は難航しているということです。
地域住民
「山を切って作った道ですから傾斜はきついし、雨も多いし。あちこち、ああいうことがあっても不思議ではない道路なんですよ。いつも覚悟して通っています」
「橿原とか奈良とか行く唯一の国道ですので、ぼくらも2～3日前に通ってきたばっかりやから、びっくりしています」
いったいなぜ、このような大規模な土砂崩れが発生したのでしょうか。現地を訪れた専門家は―。
地盤工学に詳しい大西 有三 京都大学名誉教授
「凍結融解が一番、可能性が高い。寒いときに中の地下水が凍って、それで膨れあがって、岩盤の劣化が進んでああいう形になっているんじゃないか」
凍結融解とは、崖の中の水分が気温の変化で凍ったり溶けたりすることで膨張と収縮が繰り返され、コンクリートなどにひび割れを生じさせるというものです。
奈良県・山下 真 知事「（付近で）今年5月に崩落がありまして、応急的に仮設防護柵を設置して本復旧工事に着手しようとしている矢先の段階で、大変残念なことが起きてしまったことは重く受け止めている」
生存率が下がると言われる72時間が経過するまで残り1日あまり。慎重かつ懸命な救助活動が続いています。
◇◇◇
＜取材・中継＝丸井 雄生 記者＞
土砂の中に埋まっているとみられる男性の救出には午後5時現在も至っていない状況です。現場はここから200メートルほど進んだ先にあり、徐々に暗くなってきたのですが、県や消防は50分ほど前に到着した重機で、夜間も安全も確保できる範囲で作業を続けるということです。
24日から捜索活動は中断されていますが、安全確保のため崖の不安定な部分を取り除く作業に終始しているのが現状です。まさに今から本格的な作業が始まる様子で、その作業が完了次第、捜索活動が再開されますが、まだ時間がかかりそうな見通しだということです。
（Q.「凍結融解」が土砂崩れの要因の1つという見方もあります。現場にいて何か感じることはありますか？）
2日間、現場で取材をする中で感じたのは大きな寒暖差です。朝は路面が凍結するなど厳しく冷え込む一方、昼間は少し動くと汗ばむくらい暖かくなります。しかし、夕方には再び冷え込み、今はいまは手がかじかむくらいの寒さになっているんです。
地元住民に話を聞きますと、このあたりは昔から土砂崩れが多く、専門家によりますと寒暖差がある地域では特に「凍結融解」が頻繁に発生して、雨が降っていなくても土砂崩れのリスクを伴うということです。
県や消防は、26日には崖にコンクリートを吹き付ける作業などを行い、不安定な部分を安定させたうえで、26日こそ救助活動を再開させたいと話していました。
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