第2の「OSO18」続々?“肉食化”のメカニズム(2023年11月21日)
21日も北海道ではクマに襲われて2人がけがをしました。そんななか、今恐れられているのが牛66頭を襲った怪物と呼ばれたヒグマ「OSO18」の再来です。クマの肉食化には子育てが関係しているといいます。
■ハンターらクマに襲われ2人がけが
今年6月に北海道標茶町で撮影された映像です。クマが食べる餌(えさ)に異変が…。北海道で何が起きているのでしょうか。
21日も北海道ではクマが出没。滝上町の山中で21日朝、ハンターらがクマに襲われて2人がけがをし、ドクターヘリで病院に搬送されました。
本来、クマは木の実などの植物を好んで食べるはずで、川で遡上(そじょう)するサケを捕らえる知床半島のヒグマの姿もおなじみの光景ですが、このクマが食べていたのは「牛」です。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん(62):「クマにしたら、かなり警戒しながら食べている状態」
今、肉の味を覚えたヒグマが北の大地にいるというのです。
■OSO18の再来?クマ“肉食化”
肉食のクマといえば、よみがえるのが「OSO18」の記憶。最初に被害に遭った地名と大きな足跡から「OSO18」と呼ばれ、2019年以降、道東で出没が相次いだヒグマです。OSO18もまた、牛を食べるクマでした。「OSO18特別対策班」のリーダーだった藤本さんがその脅威を語りました。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「牛を襲った数が66頭」「(Q.肉の味を覚えてしまう?)覚えさせてしまった」
OSO18はすでに駆除されていますが、藤本さんが今、懸念しているのが“肉食グマ”の再来です。6月に撮影された「牛を食べるクマ」はOSO18ではない全く別のヒグマです。肉食のヒグマが新たに現れ始めているのです。
今季は「木の実」の不作やサケなどの漁獲量の激減など、餌を探し徘徊するクマが急増。そこで狙われやすいのが…。
■背景にエゾシカ急増「昔と違う」
「肉食グマ」が増える背景には、北海道にのみ生息する「エゾシカ」の存在があるといいます。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「シカも増えているし全然、昔とは違う。頭数が増えるとクマもシカを食べ出すっていうのがどんどん増えてくるので、そうなると肉を求めるクマも出るかな」
実は、エゾシカの生息数は2018年度を境に増加傾向となり、昨年度は72万頭に上ると推定されています。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「昔はエゾシカ猟の時期しかとらなかったが、(今は)通年でほとんどエゾシカをとっているが数が減っていかない」
■子育てで伝わる「肉食の連鎖」
さらに藤本さんが今、懸念しているのが“肉食の連鎖”です。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「クマというのは2年間お母さんに育てられます。(肉食になるかは)母グマによる。木の実を一生懸命食べる母グマだったら(木の実を食べる)クマに育つし、エゾシカの死体を食べてばかりの母グマだったらそういうのを覚えてしまうし、必ず母グマに連れて行ってもらった所に子別れしたらクマがきょうだいで行きます」
肉食の生態は母から子へ…“肉食の連鎖”です。
OSO18対策班でリーダーを務めた藤本さんは“OSO18”の再来を懸念しています。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「(Q.OSO18に続くヒグマが出てくる可能性は?)今のシカの状況を見ているとゼロではない。やっぱり肉はおいしいので…」
この状況を野放しにすれば今後、最悪の事態を招きかねません。
OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「エゾシカの管理をしてあげないと、今回のOSO18みたいに火が付いて次の展開に行く。(肉食クマが)出ないとは限らないので。そこの段階をしっかり管理していくのが大切」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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