亡命中国人が急増 10年前の17倍 “パパにもう会えないかも…”それでも決意した母と息子|TBS NEWS DIG
米中首脳会談でアメリカが懸念を示した中国の人権問題。この影響とみられる中国からの亡命希望者が急増しています。去年、アメリカに逃れた親子の思いです。
中国からアメリカに来て1年になる陳紫娟さんと長男・テイ美睿くん(10)。2人はアメリカ政府に亡命を申請しています。
テイ美睿くん
「将来はハーバード大学に行って弁護士になりたい。お父さんと同じ仕事をしたいから。お父さんは他の人を助けていた」
彼の父・常イ平さんは中国の人権派弁護士でした。「国家政権転覆罪」に問われ、現在、中国で服役中です。
3年前に拘束されて以降、2人はSNS上などで、常さんの無実と解放を訴えてきましたが、それを問題視した当局からの圧力が強まり、アメリカ亡命を決意したといいます。
アメリカに亡命申請 陳紫娟さん
「警察からこのまま発信し続けたら、逮捕して刑務所に入れると脅されました。だから、これ以上中国にいたら、危険だと思いました」
今、陳さん親子と一緒に暮らす施明磊さんも2年前、長女と2人でアメリカに亡命しました。一人っ子政策に反対する活動などを行っていた夫が「国家政権転覆」の罪に問われ、無実を訴えたところ、当局から何度も脅されたということです。
2年前に亡命 施明磊さん
「公安は何度も私を脅しました。大切な子どもに中国で味わったような恐怖を経験させたくないのです」
実は今、世界中で亡命を求める中国人は急増。国連によると、その数はこの10年で17倍となっています。亡命中国人を支援する団体はその背景について…
チャイナエイド 傅牧師
「中国で人権、信教の自由に対する迫害が全面的に悪化しているからです」
アメリカの学校に通い始めたテイ美睿くん。「中国に未練はない」と言い切りますが、“受け入れられないこと”があります。それは尊敬するお父さんのこと。来年7月に父・常イ平さんは刑期を終えるとみられますが、釈放されても政治犯として扱われるため、出国は許されず、もう二度と会えない可能性が高いのです。
テイ美睿くん
「(Q.お父さんが渡米できないことをどう思うか)そんなことは間違っている」
15日に行われた習近平国家主席との会談で、バイデン大統領は人権問題について懸念を表明しましたが、成果は得られなかったとしています。
それでも“アメリカは中国に対して人権問題を指摘し続けて欲しい”。テイくんたち親子は強く願っています。
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