40年ぶり開催 国連総会の緊急特別会合 ロシアへの非難決議案2日にも採決へ(2022年3月2日)
ウクライナ侵攻で1982年以来、40年ぶりに開催されている国連総会の緊急特別会合。ロシアへの非難決議案は2日にも採決される見通しですが、複数の国がロシアを擁護するとみられています。その背景には武器供与などロシアと各国との密接なつながりがありました。
安全保障理事会の要請で40年ぶりに開かれた国連総会の緊急特別会合。2日目を迎え、ロシアへの批判の声が高まっています。
ドイツ、ベアボック外相:「ロシアは国連憲章に記された平和の秩序に対し、容赦なく攻撃している。この戦争はウクライナや欧州だけの問題ではなく我々すべての問題だ」
ドイツは、ウクライナの難民問題などのためにポーランドで協議していた外務大臣が急きょ、国連本部を訪ねて国際社会に一致してロシアに立ち向かうよう呼び掛けました。
ドイツ、ベアボック外相:「プーチン大統領が我々に押し付けた現実だ。ロシアによる戦争は攻撃的で見え透いた嘘に基づいている」
NATO(北大西洋条約機構)に加盟するオーストラリアも・・・。
オーストラリア、ファイフィールド国連大使:「『人道的な懸念による行動だ』というロシアの主張や言い訳を強く拒絶する。ロシアの行動は野蛮な侵略でウクライナの人々への直接的な攻撃だ」
ロシアの侵攻は野蛮な侵略だと痛烈に批判しました。
一方、ロシアを擁護する声も。
キューバ、ルイス・ペドロソ・クエスタ国連大使:「アメリカとNATOがロシアの安全保障の必要性を無視したのが間違いだ。国家の安全が脅威にさらされるなか、何も行動を起こさないと考える方がおかしい」
社会主義国のキューバは、欧米がロシアの安全を脅かしたと批判しました。冷戦構造の対立軸は立ち消えていません。
安保理の常任理事国で核保有国でもあるロシアの影響力は強大です。
先月25日の安保理会合では、ロシア軍の即時撤退を求める非難決議案が採決され、15カ国のうち11カ国が賛成しましたが、ロシアが拒否権を行使して否決しました。
そして、中国、インド、UAE(アラブ首長国連邦)が棄権したのです。
インドが棄権に回った裏側にはパキスタンとの紛争を抱えるなか、武器の供与などロシアからの支援を得たい思惑があるとみられています。
そして、3月の安保理議長国となったUAE。月初めの会見では、報道陣からロシアへの非難決議案を棄権した理由を問われました。
UAE、ヌセイベ国連大使:「(Q.なぜUAEは決議案を棄権したのですか?)我々はすべての文書、決議案に関してそれぞれの利点で判断する。多面的に判断しなければならない」
核心には触れませんでしたが、国連外交筋はUAEが棄権した背景には、中東のイエメンを巡る問題が絡んでいるとみています。
イエメンでは、UAEとサウジアラビアが支援する政権側と、イランが支える反政府勢力フーシ派との間で内戦が続いています。
先月28日、このフーシ派をテロリストと認定した決議案が安保理で採択されました。
UAEが重視していた決議で、ロシアからの賛同を得ることを条件にウクライナを巡るロシアへ非難決議案を棄権したとみられています。
政治的にも追い込まれているように見えるロシアですが、そのしたたかさが外交の場で完全に孤立することを防いでいるのです。
ロシアはこの戦争をどう終わらせるつもりなのでしょうか。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「(Q.軍事作戦であり戦争ではないといいますが、この作戦はいつどのように終えるのですか?核兵器を使用するシナリオはあるのでしょうか?)ウクライナが武装を解き、非ナチス化するまでだ。核を使用するというのはとんでもない。プーチン大統領が核戦力に厳戒態勢を命じたのは、NATOの首脳らが憂慮すべき声明を出したからだ。それに対して、我々は(核による)抑止力を働かせようとしている」
あくまで人道的な軍事作戦だとして、ウクライナが武装を解かなければ撤退しない意向を示しました。
その一方で、核の抑止力で欧米に圧力を掛けているのです。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「国連総会で私が言ったように、この戦争は我々が始めたわけではない。ウクライナが始めた戦争を終わらせるものだ」
議長に就任した1カ月前の会見では、ウクライナへの侵攻を否定していたロシア。
言葉とは裏腹にエスカレートする行動に国際社会の懸念も高まっています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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