“スパイ気球”海南島から打ち上げか 思惑は?アメリカ側“トーンダウン”(2023年2月16日)

“スパイ気球”海南島から打ち上げか 思惑は?アメリカ側“トーンダウン”(2023年2月16日)

“スパイ気球”海南島から打ち上げか 思惑は?アメリカ側“トーンダウン”(2023年2月16日)

 スパイ気球を巡り、アメリカメディアはスパイ気球が中国のリゾート地「海南島」から打ち上げられたと報じました。この島、中国のハワイと称される一方で軍事的にも大きな意味を持っていました。

 自民党の麻生太郎副総裁。16日に日本を訪れた“偵察用気球”について、こう指摘しました。

 自民党・麻生太郎副総裁:「これは明らかにスパイバルーンとして、日本の領土の上を領空を侵略している、侵しているということであれば、これに対してはきちっとした対応をする。当たり前のことでしょう」

 きちんとした対応を取ることが抑止力になるというのです。

 自民党・麻生太郎副総裁:「国民の生命財産を守るためには、きちんと撃墜する等々の対応するんだという可能性があるということは、明確にしておくべきだと思っています」

 日本政府は偵察用気球が領空侵犯した際、正当防衛などの要件を満たさなくても撃墜できるよう武器使用の要件を緩和する方針を固めました。

 一方、アメリカが偵察用として4日に撃墜した中国の気球に関して、新たな展開です。

 ワシントン・ポスト:「アメリカは、中国の偵察気球を海南島での打ち上げ時から異常なルートをたどる様子を追跡していた」

 ワイントンポストによりますと、気球は中国南部の海南島から打ち上げられ、その直後からアメリカ軍と情報機関がほぼ1週間にわたって気球を追跡していたというのです。

 海南島は“中国のハワイ”と呼ばれるほどのリゾート地で、コロナ禍では多くの中国人観光客が訪れ、ショッピングモールのブランド店で爆買いするなどにぎわいを見せました。

 その一方で…。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「リゾート地であると同時に軍事拠点でもある。南シナ海全体を見据えた海軍基地があり、空軍もいる。核ミサイルを持った潜水艦もいるということで、非常に大規模な軍事基地でもある。そこから気球が放出されるということはあってもおかしくない」

 そんな中国は、アメリカ本土上空を飛行したのは「偏西風の影響を受け、コースから外れた」「不可抗力で米国に誤って入ってしまった」と“偶然”だと主張しています。この主張、本当だった可能性が出てきました。ロイター通信がアメリカ本土に向かったのは偶然だったようだと報じました。

 ロイター通信:「アメリカ当局者は『中国の気球は風によってコースから外れて飛ばされたと考えている』と語った」

 政府当局者の話として、気球は当初、東へと向かい、グアムやハワイを通るはずでしたが、風にあおられて北に進路が変わってしまったといいます。ただし、アメリカは中国側の偵察用ではなく「民間の気象研究用」だとする主張について否定しています。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「(気球が)偶然にしても、せっかく米国本土に行ったので“核ミサイル基地を見てみよう”ということになったようにも言えるかもしれない。偶然は偶然、これ幸い」

 そんな中国は、アメリカこそが中国上空に偵察用気球を飛ばしていると“反撃”に出ています。

 また、中国外務省がこの問題に言及しました。

 中国外務省・汪文斌副報道局長:「この問題について何度も事情を説明した。米国は過剰に反応すべきではない」

 対するアメリカ側は“トーンダウン”でしょうか。今月、北米で撃墜した4つの飛行物体のうち直近の3つの飛行物体について、アメリカ政府高官が商業用や研究用の可能性も否定できないとの見方を示しています。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「“米国本土に来たのは偶然だった”という情報を流す。“気球の2、3、4機目は軍事偵察用ではなかった”という情報を流す。(米国が)明らかに事態を収めるモードになっている。一方で、中国が“お前もやってるだろう”と逆ギレモードになっているので(事態を)収めるのが難しくなっている感じがする」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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