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【閉店】地元の名店や“町のシンボル” 最後の日に集まったファンや店主の思いは…
メンチカツが名物の精肉店や町のシンボルの百貨店が31日、惜しまれつつ閉店しました。店にはファンが長い列を作り、最後の別れを惜しみました。コロナ禍、再開発計画、体力の限界…。閉店を決断したそれぞれの思いとは。
◇
31日午前9時ごろ、東京の下町、荒川区西日暮里の精肉店「北島商店」の前に、お客さんの長い列ができていました。
お客さん
「最後だし、もう食べられないから来ました」
創業77年の「北島商店」が、1月31日をもって閉店することとなったのです。
多くのお客さんが目指す店の“名物”が、特製パン粉でジューシーな牛、豚肉、大きめのたまねぎを包んだ手作りメンチカツ(1個・180円)です。
無事、お目当てのメンチカツを手に入れた人は――
メンチカツを購入した人
「あ~温かいです。おいしそう~5枚も入ってる」
「あ~なんか泣けてくる、もう食べられないなんて…」
このメンチカツが名物となった理由は、味のほかに実はもう1つありました。「北島商店」は、日本競泳界のレジェンド・北島康介さんの実家です。
北島さんがレース前にメンチカツを食べるエピソードが有名になり、大手百貨店のデパ地下でも販売していました。近年もスーパーやデパートなどに卸してきましたが、北島商店の北島富士男さん(76)は、「コロナの影響で(店を)やめているお得意さまも多いし、商売にならなくなってきたと」と話します。
それでも康介さんの父・富士男さん(76)は、最後の日も暗い表情を見せませんでした。
北島商店・北島富士男さん
「寒いのに申し訳ない」
メンチカツ同様、温かい人柄も店が長く愛されてきた理由かもしれません。
◇
31日は、“町のシンボル”との別れを惜しむ行列もできていました。1967年、東京・渋谷に誕生した「東急百貨店本店」が、グループの再開発計画に伴い閉店しました。
世代を問わず、多くのお客さんに利用されてきた売り場がありました。豊富な品ぞろえで読書ファンに愛されてきた大型書店「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店」です。31日が最後の営業となりました。
20代
「すごくお気に入りの本屋さんだったので…」
60代
「ここなくなっちゃうの寂しいですね」
“出版不況”の中でも本の魅力を発信し続けてきた書店。店内は、「小さい時に、がんばってお金を貯めて好きな本を買いました」「母との想い出がたくさん詰まった場所です」など、お客さんから感謝を伝えるたくさんのメッセージであふれていました。
MARUZEN&ジュンク堂書店・渋谷店 関谷俊弘店長
「非常に目頭が熱くなるという思いで、(メッセージを)読ませていただきました。私たちの存在が生活の一部になっていたならば、非常にそれはうれしいことだなと」
◇
地元で数少ない味との別れを惜しむ行列もありました。22年前、神奈川県川崎市の梶が谷駅前にオープンしたラーメン店も、31日を最後に閉店することとなりました。
もともと飲食業ではなかった大将が勝負をかけたラーメン。とんこつしょうゆベースの味に、ほれ込む常連客もいましたが、この店が愛されてきたワケはもう1つありました。
40代
「(梶が谷駅周辺にはラーメン店が)僕が覚えている限り、ほぼないんじゃないですか」
地元住民にとっては、“ラーメンが食べられる貴重なお店”だったのです。
物価高の中でも、1杯730円の“らーめん”の値段は上げずに踏ん張ってきましたが、朝5時から1人で仕込みを始め、閉店の夜10時半まで働く66歳の大将の体力も限界にきているといいます。
らーめん翔太 大将・柳正茂さん(66)
「経営的にも難しいし、年も年で体力もないので」
そんな大将と二人三脚で走ってきた妻は、お客さんからもらった手紙が宝物だと話します。
妻・柳勇美子さん
「『初めてらーめん翔太に来たのは11歳で、オープンの時だった』と、『お母さんと一緒に階段に並んで順番を待った』と、『僕の青春が詰まっているのは翔太らーめんです』と、それにはやっぱり泣けちゃいました」
それぞれの歴史に幕を下ろした地元の“名店”。最後の日にできたこの列こそが、店が愛されてきた証しです。
(2023年1月31日放送「news every. 」より)
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