「日本に帰りたくないので知人に告訴してもらう」容疑者4人 特殊詐欺関与か 指示役「ルフィ」「キム」は? なぜフィリピン入管施設に?【解説】|TBS NEWS DIG
全国で相次ぐ強盗事件でフィリピンの入管施設に収容され特殊詐欺に関与した疑いで逮捕状が出ている4人について氏名が明らかになりました。一連の強盗事件をめぐり警視庁は「ルフィ」や「キムヨンジュン」のアカウント名を使い、通信アプリ「テレグラム」で指示を出している人物がこの4人の中にいる可能性もあるとして慎重に調べています。
■容疑者4人 特殊詐欺に関与か 指示役「ルフィ」「キム」は?
井上貴博キャスター:
フィリピンの入管施設がむしろ犯罪者を守る施設になってしまっていた現実があります。指示役の特定が急がれます。▼今村磨人容疑者(38)、▼渡辺優樹容疑者(38)、▼藤田聖也容疑者(38)、▼小島智信容疑者(45)。この4人の中に連続強盗事件の指示役「ルフィ」「Kim Young-jun(キム ヨン ジュン)」のアカウント名を使っていた人物がいるとみて、慎重に捜査が進められています。
このフィリピンの入管施設は2019年に一斉摘発され、特殊詐欺グループの日本人36人が拘束されました。この36人のうちの4人なのか、別なのかもわからないのですが、4人の容疑者の一部は特殊詐欺グループ(詐欺事件の被害総額は約35億円まで膨れ上がっている一連の事件)の幹部ではないかとみられています。
■なぜフィリピン入管施設に? 日本に帰りたくない…
この入管施設にとどまることがむしろ犯罪を進めやすくしている実態があります。
入管施設にいた韓国人
「日本に帰りたくないので、フィリピンで知人に告訴をしてもらう。告訴されると事件解決まで強制送還されない」
実際に渡辺容疑者は女性・子どもへの暴力行為の罪で裁判の手続きが進行中です。この暴力行為自体も虚偽の告訴ではないのかということで、ようやくフィリピン政府当局が調べを進めています。
■指示役は賄賂で“携帯電話”を入手? VIPルームにエアコン、マッサージも
【渡辺容疑者らのいる入館施設とは】
この施設は、各国から指名手配された▼逃亡犯▼不法滞在者などが母国へ送還されるまで一時的に収容される場所です。なぜこんなに管理が甘いのかということで、フィリピン政府もこれから対応に追われそうです。
▼最大収容人数140人のところに400人以上がいることが常態化
→日本人は現在17人(フィリピン当局側から発表)
【入館施設内では…】
入管施設はどんな様子なのか。2020年当時は月6万円で個室VIPルームとかエアコンがついている部屋とかに移動できるシステムになっていたようです。お金さえあれば▼薬物らしきものを使用、▼マッサージを依頼できる実態がありました。
入管施設にいた韓国人
「(お金は)日本にいる仲間が送金してくる。収容所の職員に賄賂を渡し『銀行で下ろしてきてくれ』と頼むと職員が持ってくる」
職員に賄賂を渡して携帯電話を入手し、出資を呼びかける様子もあったそうです。この組織の頂点に今村容疑者がいるのか、今村容疑者をさらに操っている人物がいるのか、そのあたりもよくわかっていません。
フィリピン レムリヤ法務相
「入管施設は限られた場合しか通信は許されていない。入管職員に(渡辺容疑者らの)支援者がいれば厳しい対応をする」
「強制送還に向けフィリピン国内でのこの問題について解決を急いでいる。2月に予定されているマルコス大統領の日本訪問までに解決できるよう尽力します」
ホラン千秋キャスター:
政府としてはこのように話していますけれども、賄賂を渡して願いがかなう状態が常態化しているのであれば大きな問題でしょうし、システム上、容疑者を守ってしまえる形なのもどうにかならないかなと思いますよね。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
収容所の職員自体が賄賂を受け取ったりした方が存在できるようになっていること自体がおそらくフィリピンの政府では既に問題としていたのかもしれませんが、それがここまで明るみになると結果的に国際的な問題にもなるという意味ではフィリピンは対応せざるを得なくなるということですよね。日本側としてはまずこの組織犯罪の実態が明らかになることも重要ですし、同時に実行犯になってしまうと逃げることはできないということもちゃんと広めなきゃいけないことですよね。
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