【進化する“缶スープ”】カレーにシチューまで… メーカー“緻密な計算”と戦略
自動販売機のラインアップといえば水やお茶、コーヒー。さむ~い時期には、そこにあたたか~い“缶スープ”が仲間入り! いまや、その種類は多種多様で、ラーメンにカレー、シチューまでも缶スープになっています。そこには“ある理由”が…。各メーカーが力を入れる缶スープ。増加のワケをヒモトキます。
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新しい商品が続々登場している缶スープ。去年8月に発売された「飲むカレー」は、10種類のスパイスを配合し、飲み心地よく、とろみと辛さのバランスにこだわっています。また、「クリームシチュー」は、チキンや野菜のペースト等が使われていて中には、にんじんの具が入っています。
今では多くの種類がある缶スープ。歴史をひもといてみます。
自動販売機を設置するJR東日本クロスステーションによると、最初に登場した自販機用の缶スープ“第1世代”は、やはり王道のコーンスープ系です。この1強時代が長く続いた後、“第2世代”として、みそ汁などの和風商品が登場し、和と洋での飲み分けが始まりました。その後、“第3世代”になると、「とん汁」「トマトとたまねぎのスープ」など和風・洋風のバリエーションが増加。“第4世代”になった今では、中華系なども誕生し、多種多様な商品が展開されています。
ただ、これだけ商品があるものの、売り上げで見ると缶スープの人気はまだまだです。マーケティング会社が行った「自動販売機で購入する飲み物」についての調査(ドゥ・ハウス調べ 去年5月 複数回答)を見てみると――
●1位 お茶(72.4%)
●2位 コーヒー(65.0%)
●3位 炭酸飲料(44.4%)
●4位 スポーツ飲料(34.1%)
●5位 水(33.9%)
缶スープは「その他」に含まれていて、わずか1.4%となっています。
では、なぜ需要が少ないのに缶スープの開発が進んでいるのか、そこにはデータから割り出された緻密な計算と戦略がありました。
JR東日本クロスステーション 小室塁さん
「駅中の自販機は、朝のラッシュの時間帯に多くお客さまがいらっしゃるので、自販機の売り上げ自体、朝、非常に高くなる。それ以外の時間帯を伸ばせば、もっと売り上げを伸ばすことができる。『夜型の需要』として、小腹を満たすスープの商品を発売しようと」
つまり、24時間稼働している自動販売機で、午後の時間帯は売り上げが下がるそうで、その中で比較的売れている缶スープに目をつけたといいます。
また、それぞれの商品にも狙いがあります。
「コクと旨味の一風堂 とんこつラーメンスープ」は、コロナ禍で行くことが減った、飲んだ後の“〆の1杯”として、夜に狙いを定め開発したということです。実際に、夕方から午後10時ごろにかけて売れているといいます。
「じっくりコトコト 飲む缶カレー」の開発の狙いも聞きました。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ・加工食品事業部 小川裕久さん
「移動中(に食事)とか忙しくて、なかなか食事をとる時間がない人にとって、手軽に自動販売機で買えて食事の代わりにもなる。物足りないときの1品として、活用してもらえれば」
“飲むカレー”がターゲットにしたのは、“ちょっとお腹がすいた人”です。狙い通り、おやつの時間や残業前の時間帯によく売れているといいます。さらに、水やお茶と客の取り合いになることがなく、一緒に購入する人もいるということです。
今後もさらに、進化した缶スープが増えていくかもしれません。
(2023年1月18日放送「news every.」より)
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