【飯能3人死亡】「悪夢」容疑者の父親が語る 過去にもトラブル…捜査線に浮上
25日、埼玉・飯能市の住宅で男女3人が死亡しているのが見つかり、近所の男が逮捕された事件で、亡くなったのはアメリカ国籍の男性と妻、娘と確認されました。過去のトラブルから、捜査線に浮上したということです。容疑者の父親は「悪夢」と語りました。
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アメリカ国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(69)のSNSには、ソフトクリームを手に笑みを浮かべる写真、ハットをかぶった写真が投稿されていました。妻の森田泉さん(68)、娘の森田ソフィアナ恵さん(32)と共に殺害されました。
事件発生から15時間後の25日午後10時すぎ、現場から離れる警察車両を日本テレビのカメラが捉えました。後部座席にいたのは、殺人未遂の疑いで逮捕された直後の斎藤淳容疑者(40)です。午後10時半ごろ、車の中で伏し目がちのまま、埼玉・飯能警察署に連行されていきました。そして、26日午前8時半すぎ、警察署から出てくる様子も捉えました。
クリスマスの25日、埼玉・飯能市の閑静な住宅街で、事件は起きました。事件発生直後の午前7時半ごろ、現場ではサイレンを鳴らしながら走行するパトカーや、救急車と消防車、複数の警察車両が撮影されていました。
110番通報があったのは午前7時すぎ。
110番通報
「大声を出して男が騒いでいる。2階から火が出ている」
近隣住民が、緊迫した当時の状況を語りました。
近隣住民
「悲鳴しか聞こえなかった。ギャーギャーって感じ。女の人です。2人ぐらいの声に聞こえた」
――重なって聞こえたか?
近隣住民
「そうですね」
――悲鳴は大きかったか?
近隣住民
「大きかったですね。すごかったです。びっくりしました。あんな声が出るのかなっていうぐらい。パトカーも来ているし、窓を開けて(外に)出たんですね。そしたら前の(近所の)方が『殴打していたのを見た』って」
「(目撃した人から聞いた話)『棒』って言っていました。長いハンマーって、ちょっと大きめの。『もう執ように狂気を感じた』って言っていましたね」
別の住民は「すごい音はしていましたよ。足音が駆けているような音がして、それがいっぱいあったような気がします」と話していました。
3人は、いずれも鈍器で頭や首など上半身を殴られ、死亡したとみられています。捜査関係者によると、警察は斎藤容疑者の自宅の捜索で、複数の鈍器を押収しました。その中から、目撃情報と合う“凶器”とみられる鈍器が見つかったといいます。
またその後の取材で、斎藤容疑者は玄関から侵入し、屋外に逃げた3人を鈍器で襲ったとみられることが、新たにわかりました。“強い殺意をもって犯行に及んだ”とみられますが、事件直後に目撃されたのは平然と立ち去る男の様子でした。
事件を目撃した近隣住民
「『(人が)やられている』って話を家内とか近所の人に聞いて、様子を見に、木刀を持って行ったんですけど。そしたら、(斎藤容疑者が)ちょうど出てきた。 『お前がやったのか?』という意味で、『お前か?』って言ったら、元へ戻っていった」
「何も言わず、無言でそのまま。平然としているというか、興奮した様子もないし、息を荒らげている様子もないし、戻っていく時も走るわけでもないし」
事件当時、現場の住宅の2階では火事も起きていて、警察は防犯カメラの映像などから、3人を殴った後に火を付けたとみています。斎藤容疑者は慌てるそぶりも見せず、その場を離れたということです。
佐藤梨那アナウンサー
「ブルーシートの張られた家が3人が殺害された現場なんですが、容疑者の男は住宅を挟んで隣の通り、パトカーの見える奥に住んでいたということです」
事件があった住宅と斎藤容疑者の自宅は、直線距離でわずか50メートルほどしか離れていません。事件後、斎藤容疑者は徒歩で逃走し、まもなく自宅に戻ったとみられています。
捜査関係者によると、警察は斎藤容疑者が帰宅した後の午前中に自宅を訪問しました。ただ、呼び鈴を鳴らしても、応答がなく、居留守を使っていたとみられています。
そして、事件発生から約15時間後、警察が自宅に入ったところ、斎藤容疑者はドアの内側に物を置いた状態で2階の部屋にひきこもり、呼びかけに対しては無言で応じなかったといいます。抵抗する姿勢を見せる中、警察は無理やり中へ入り、身柄を確保したということです。
警察はなぜ、事件発生当日に男の自宅まで足を運び、逮捕に至ったのでしょうか。実は斎藤容疑者は「過去のトラブル」から、すぐに捜査線上に浮上したというのです。
捜査関係者によると、斎藤容疑者は今年1月、現場の住宅の車に石を投げつけて傷をつけたとして、器物損壊の疑いで逮捕され、その後、不起訴処分となりました。
その際、ビショップさんは住宅に防犯カメラを設置していました。今回、斎藤容疑者が敷地に侵入する様子がカメラに映っていたことが、関与を裏付ける決め手の1つだったということです。
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斎藤容疑者とは、どんな人物なのでしょうか。26日、斎藤容疑者の父親が取材に応じました。
斎藤容疑者の父親は「事件を知って、正直に申し上げますと、めまいがして、悪夢を見ているようでした。本当にとんでもないこと」と話しました。
また「(最後に会ったのは?) 22~23年前。子どもの頃は、本当に友達思いだったんですが…」 と振り返りました。
父親によると「斎藤容疑者は以前、母親と姉と一緒に住んでいた」ということです。父親は「(母親と姉は)出て行きました。理由は『(斎藤容疑者が)乱暴なことを言う』ということは聞きました」と話しました。
息子が小学校の同級生
「『明るくて勉強できたし、サッカー得意でね』って聞いている。息子から『とってもいい子だった』って。(息子は)びっくりしていた。『なんで、あんな子があんなことするんだ』って」
「ものすごく格好良くて、サッカーがすごくうまかった。だから、今回の報道が信じられない」
「うちの娘も『斎藤先輩かっこいい』なんて言っていた。『なんで?』って感じよね」
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一方、ビショップさん一家について、近所の人は「仲が良かった」と口をそろえます。
近隣住民
「最後に会ったのは、1か月ぐらい前。ビショップさんが1人で歩いていて、『こんにちは』って」
佐藤梨那アナウンサー
「ビショップさんの人柄は?」
近隣住民
「普通に笑顔で話すし、普通におじいちゃんと話した感覚」
佐藤梨那アナウンサー
「『事件があそこの家だ』とわかった時は?」
近隣住民
「『なんでビショップさん』とは思いました。そこまで人に恨まれる印象は全くなかったので」
他の近隣住民からも、ビショップさん一家について、さまざまな声が聞かれました。
近隣住民
「うちの前をお嬢さんと奥さんで歩いて、買い物行って、すごく穏やかでした。親子すごくいい感じで、親子3人でよく話してましたね」
「温厚な方ですよ。誰でも挨拶してくれるような。手を上げてくれたり、お辞儀してくれたり」
「お庭にいて挨拶して、感じいい人だなと」
司法解剖の結果、ビショップさんの死因は首を強く殴られたことによる頸髄損傷でした。
捜査関係者によると、娘のソフィアナ恵さんは現場の住宅に住んでおらず、事件当時は偶然、居合わせたとみられています。警察は、夫婦を狙った犯行だった可能性があるとみています。
26日夕方、ビショップさん一家の遺族は「私たちは家族が突然、このような事件の被害者となってしまい、非常に大きなショックを受けており、心の整理がついていない状態です」とコメントを出しました。
警察の調べに対し、斎藤容疑者は「言いたくありません」と供述を拒んでいるということです。斎藤容疑者はビショップさんへの殺人未遂容疑で逮捕されましたが、警察は27日の送検で殺人容疑に切り替え、捜査を進める方針です。
(2022年12月26日放送「news zero」より)
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