【解説】子どもの性被害 新たな処罰規定を検討
見直しが進められている「性犯罪」の規定について、「グルーミング罪」という新たな処罰規定をつくる議論が進められています。この規定では、SNSなどで少女らに裸の写真などを送るよう“要求”した時点で罪に問われる可能性が…。
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■“要求”した時点で罪に…性犯罪の新たな処罰規定とは
有働由美子キャスター
「今、『グルーミング罪』という新たな処罰規定をつくることについて議論が進められていますが、『グルーミング』は、もともと『動物の毛繕い』の意味です。これが性犯罪においては、『わいせつ目的で子供を手なずける行為』を指します。小野さん、具体的にどういった行為を処罰しようとしているんでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「例えば、警察庁や文科省が警鐘を鳴らすのは、女子中学生のA子さんのケースです。
【第1段階】
自分のSNSにダンス動画などをあげていたところ、フォロワーの男性からダイレクトメッセージが届きます。
【第2段階】
『学校お疲れさま!』『疲れたよ~』といった最初は何気ない会話から始まって、共通の趣味の話題や、飼い猫などの写真も送り合うようになります。
【第3段階】
Aさんが男性のことを信頼したタイミングで送られてきたのが、『男性の裸の写真』です。そこには、『自分の裸w』『Aちゃんも送って』と書いてあります。Aさんは嫌だったけれど断り切れず、裸の写真を送ってしまったということです。
このケースでは、写真を送るよう『要求』した時点で、『グルーミング罪』に問われる可能性があります」
有働キャスター
「つまり、女の子から男性に、“実際に写真を送ったかどうか”は関係ない…送らなくても罪に問われる?」
小野委員
「(写真を送ったかどうかは)関係ないです。性被害を未然に防ぐためです」
■SNSきっかけで性被害に…近年高い水準で推移
小野委員
「去年、SNSをきっかけに事件に巻き込まれた18歳未満は、1812人もいます。近年、高い水準で推移しています」(※警視庁より)
「法務省の試案では、『(だます、誘惑する、お金を渡す約束をするなどして)16歳未満にわいせつ目的で会うことを要求する行為』や、『実際に会った場合』、また、『わいせつな画像を送るよう求める行為』も処罰の対象となります」
■“システム”での取り締まりは? 「画像から年齢特定」AIでも見極め難しく…
有働キャスター
「SNS時代ならではの問題だと思いますが、落合さん、システムで取り締まることとかって、できないんですかね」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「システムでやるのは難しいですね。もともとがシステムの抜け穴を通りがちなやり取りじゃないですか」
「例えば、ここに年齢認証があったとしても、わざわざ入れないですし、(年齢を)多めに入れるだろうし。逆に、裸の画像をアップロードする時に、そこから年齢を特定するというのはすごく難しいタスクなので、例えば、裸画像をアップロードしたら、『裸画像送ってますけど』みたいなアラートを出すくらいなら…」
有働キャスター
「『いいですか、このまま送っても』という…」
落合陽一さん
「AIでできるのはできるけど、そういうのを入れると、逆に言うと、肌の露出が多い服で送ろうとしたら送れなくなるということが起こりやすいし、あと、裸の画像全てがネットから送れなくなるのは、僕は表現の自由に反していると思うので、そういう規制はどうかと思うんですけど」
「ただ、“子どもの安全”って非常に重要なので、子どもに『裸の画像を送れ』と言う大人がいなくなる方向に、この社会を進めたいとは思います」
有働キャスター
「法律になるというのも大切なことですが、とにかく、『他人に下着姿や裸の写真、個人情報は絶対に送らない』。軽い気持ちだとしても、一度でも流出したら取り返しがつきません。小さい頃からきちんと伝えてほしいですし、今日見ている人、女子も、男子も、友達同士で伝え合ってください」
(2022年10月25日放送「news zero」より)
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