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【解説】北朝鮮がミサイル8発“異例の連射” 米朝会談ない以上くり返す?
5日、北朝鮮が日本海に向けてミサイル8発を発射しました。これに対抗してアメリカと韓国も6日朝、同じくミサイル8発を日本海に発射しました。こうした事態の背景には何があるのか、詳しく解説します。
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■北朝鮮がミサイル8発“異例の連射”… 「変則軌道」も
韓国軍によると、北朝鮮は5日、首都・平壌や東部の咸興など4か所から、日本海に向けて短距離弾道ミサイル8発を相次いで発射しました。
防衛省によると、いずれも日本のEEZ(=排他的経済水域)の外側に落下したということです。岸防衛相は今回、短時間に3か所以上からの“異例の連射”だと批判しています。
発射内容の分析により、少なくとも1発以上、「変則軌道」のものが含まれる可能性があることも明らかになっています。変則軌道とは、通常の弾道ミサイルよりも高度が低く、着弾前に飛行コースが変わるなどの飛び方をすることです。レーダーでとらえにくく、追尾して撃墜するのが難しくなります。
■“連射”は「飽和攻撃」か 迎撃を困難に…
こうした、異例ずくめの今回のミサイル発射について、岸防衛相は5日午前、「『飽和攻撃』などに必要な連続発射能力の向上といった狙いがある可能性があります」と述べました。
「飽和攻撃」とは、相手の防御処理能力の限界を超えた攻撃を行うことです。つまり、岸防衛相は、北朝鮮が一度に多くのミサイルを発射して迎撃を難しくすることを狙っているのではないか、と懸念しているわけです。
一度に数発のミサイルを発射することにどのような意味合いがあるのか、北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・礒﨑敦仁教授は「北朝鮮は今、実戦能力を高めている。完成したものを実戦配備・訓練しているという段階」と話しています。また、「日米韓のミサイル防衛網を突破することを目指している」とも指摘しました。
今回、一度に8発ものミサイルを発射したことには、こうした意図が現れているのではないかと言えそうです。
■前・統合幕僚長「米朝会談の兆しが無い以上くり返す」
韓国軍は、4日までアメリカ軍などと共に沖縄近くの海上で合同演習を行っていたと発表していて、北朝鮮がこうした状況に反発しミサイルを発射した可能性もあります。
防衛省がまとめた近年の北朝鮮のミサイル発射数のデータでは、トランプ政権時代に史上初の米朝首脳会談が行われた2018年は0発でしたが、2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった翌2019年は一気に増加しました。その後も米朝の交渉が無い中、ミサイル発射が続き、今年はまだ6月ですが、すでに23発ということで、非常に増えている状況です。
こうした数字の推移について、先月、韓国では尹政権が発足し日米韓の連携強化が進んでいることも関係しているとみられます。
今後について、前・統合幕僚長の河野克俊さんは「北朝鮮はアメリカと対等に向き合いたい。米朝会談の兆しが無い以上、当面は挑発行為を繰り返すだろう」と分析しています。
■韓国の新政権は北に“厳しい姿勢” 米韓も日本海にミサイル8発
今回の北朝鮮のミサイル発射を受け、アメリカ、韓国は6日朝、対抗措置を執りました。韓国軍は、「6日朝早く、アメリカとともに日本海に向けて地対地ミサイル8発を発射した」と明らかにしました。5日、北朝鮮が8発の弾道ミサイルを発射したことに対抗したもので、韓国軍は、発射地点などを「直ちに精密打撃できる能力を示した」と説明しています。
韓国の尹錫悦大統領は6日、北朝鮮による核とミサイルの脅威が高まっているとの認識を示し、「(北朝鮮の)脅威を抑制してより根本的で実質的な安保能力を備えていく」と述べました。前の文在寅政権とは打って変わって、北朝鮮に対して厳しい姿勢でのぞむことを改めて強調した形です。
これまで北朝鮮がミサイル発射に成功した場合、次の日などに報道で映像を流すなどしてきましたが、今回は不思議なことに、北朝鮮メディアは6日午後4時半時点で、5日の発射について触れていません。
さらに不思議なことに、実は5月から5回連続で発射の事実を公表していません。今月上旬の開催を予告している朝鮮労働党の中央委員会総会で、核・ミサイル開発やアメリカ、韓国についての言及があるのかどうかが注目されます。
■北朝鮮 実は軍縮会議“議長国” 持ち回りで…
一方、ロイター通信によると、北朝鮮は今月、国連機関のひとつジュネーブ軍縮会議の議長国に就任しました。65の加盟国がアルファベット順による持ち回りで務めているといいます。
就任の際に、北朝鮮の韓大使は「北朝鮮は世界の平和と軍縮に貢献することに尽力する」と述べましたが、西側諸国からはミサイル発射を非難する声明が出されています。
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ミサイルを巡る動きが活発化する一方で、核実験の実施も懸念されています。安全保障環境の変化にどう対処するのか、私たちも速やかに考える必要あります。
(2022年6月6日「news every. 」より)
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