【堤防を壊す?】河川敷を黄色く染める「菜の花」 実際に被害も…
河川敷を黄色く染め、春の訪れを告げる「菜の花」、その多くは外来種です。既に日本各地に定着していますが、堤防を壊してしまう可能性があるということです。国土交通省によると、実際に土手が陥没する被害も発生しています。
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22日、埼玉県を流れる一級河川「利根川」の河川敷は黄色く染まっていました。咲いているのは、3月から4月に花を咲かせる”菜の花”です。
地元の人
「だんだん、だんだん、春が近づいて来て、菜の花だらけになって気持ちがいいです」
春になると、各地の河川敷にたくさんの菜の花が咲き乱れます。埼玉・三郷市にある江戸川の河川敷では黄色い花がたくさん咲いていますが、堤防の一角では咲いていませんでした。
国土交通省 江戸川河川事務所 宮嵜佳雄さん
「菜の花がきれいではあるんですけど、『堤防をキズつけてしまう』という話があります。(江戸川では一部)開花のタイミングで、菜の花を除草していると」
菜の花が、堤防に悪い影響を与えるというのです。一体、どういうことなのでしょうか?
多くの河川敷に咲いているのは、菜の花の一種「セイヨウカラシナ」です。環境省によると、この花は外来種で繁殖力が強く、在来種と競合する懸念があることから、「生態系被害防止外来種リスト」にも登録されています。
堤防にとって問題となるのは、繁殖力に加え、太く長い根っこです。
宮嵜佳雄さん
「長さ的には25~30cmくらい」
大根のように太い根をはる「セイヨウカラシナ」。江戸川河川事務所によると、花が枯れ、根が腐ると、堤防の土が柔くなる上、根を餌にミミズが集まるということです。さらに、ミミズをエサにするモグラが集まり、”モグラ穴”が増加するため、堤防を弱体化させるいうことです。
地元の人
「そうなんだと。誰も知らないだろうなって感じです」
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モグラを展示していた「アクアマリンふくしま」の飼育員によると「土でできた河川敷であれば、モグラは簡単に掘り進めることができる」ということです。
アクアマリンふくしま 飼育展示部・副主任技師 戸倉渓太さん
「ミミズがたくさん集まっているのは、モグラにとってすごく魅力的なんじゃないか」
江戸川の河川敷を見てみると、小さな穴が確認できました。
記者
「ここがモコモコとなっていて、さらにこちらにかけてもモコモコと、動物が通ったような通り道になっています。こちらの地面は固いのですが、こっちは、崩れてしまうような柔らかい状態になっています」
実際にモグラが掘った穴とそこに降った雨による浸食で、土手が陥没する被害も発生しました。
国土交通省 江戸川河川事務所 宮嵜佳雄さん
「(堤防に)大きな崩れがありますと、住宅とかマンションがありますが、こちらの方に水がいってしまう」
堤防を守るため、江戸川沿いでは今年3月、堤防の一部で試験的に菜の花の除草を行いました。
地元の人
「ちょっとさみしいよね。せっかくこれだけ咲くのはないから。他の方法があれば一番良いんだけどね。菜の花を残してね」
セイヨウカラシナについて、環境省は「これ以上の拡大を防ぐため、持ち帰らないようにしてほしい」と注意を呼びかけています。
(2022年4月22日放送「news every. 」より)
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